『空気代』
著者:亜季
「空気もそのうち、有料になるぞ。」
ナオキは、ネクタイを緩めながらナミに言う。
「はいはい。」
「聞いてないだろ。」
「聞いてるって。」
カーテン越しに三日月が光るこの部屋で、
ナミは髪をときながら、風呂上りの手入れに必死だった。
「じゃあ、俺の言ったこと、復唱してみろ。」
「食うにもそのうち、いるようになるぞ。」
・・・ナミがまた、とてつもない聞き間違いをした。
「・・・そんなこと言ってねぇって。って何がいるんだよ?」
「え?親からの仕送り。貯金が底につきそうなんでしょ?」
キョトンとした目で俺を見るナミ。
俺のがキョトンとしたいほうだ。
「こうなったら、『親からの援助は受けない!』なんて意地はってられないもんね。」
確かに俺の貯金は底につきかけていて、
危うく、ナミの収入にお世話になりかけた。
でも、もう、仕事もせずに、家でゴロゴロしてた
昨日までの俺じゃない。
同棲中のナミにだって、これでやっと楽にしてやれる。
「で、結局なんて言ったの?」
「『空気もそのうち、有料になるぞ。』」
「ぷっ。何それ?」
ナミが可笑しそうに笑う。
この笑顔のために、俺は頑張ったんだ。
「空気が有料になったら、うち、生けていけないね。」
「大丈夫だよ。払えるから。」
「えー?就職決まってから、そのセリフ言ってよね。寝るよ。」
「え!待って!これ見て!」
俺はボロボロに擦り切れたカバンから
紙切れを1枚取り出し、ナミに見せた。
が、電気は消された後だった。
「おーい、見てくれよ。これこれー!」
この暗さではどうせ何も見えそうにも無いが。
●《自己批評》
『空気が有料の意味が、全く分からずに
話が終わってしまいました(^^;』
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◎この暗さではどうせ何も見えそうにも無いが。
『Mystery Circle』
著者:AR1
この暗さではどうせ何も見えそうにも無いが、しかし、彼はこの世界を紹介せずにはいられなかった。誰にでもなく、されど誰かいなければ意味などなく、まずは手始めにと親友の洗脳から始めることとあいなった。
まず、親友である彼に説明しなければなるまい。暗闇の中に蒼光の潜む月が宿る世界――『MysteryCircle』を。
最初に――誰にでもなく、しかしこの文章に目を走らせているあなたに対して――言い置いておかなければならないことが一つ、確固として存在する。私は他者に対して先入観を植え付ける行為を酷く嫌う。イマジネーションを他者に依存する行為は、当人の可能性を著しく引き下げる方向にしか働かないからだ。初見にして抱く感想というものは極めて大事で、それが単なる御威光の眩しさに惑わされることのない実直な感想というものは、意識の新鮮さが失われるほどに鈍化する。
だからこそ、私は提言として――極論だとしても――先入観は嫌いだ。ただし、時にはそれが必要となる場合もある。それが今、この時なのだと。
まず最初に説明したのは、この世界は節操がないということだ。空気の匂いも、季節感も、見渡す限りに異質なもの達が、不思議なことに集合して構成されている。無論、天気も季節も関係がない。
湿度とは無縁の快晴もあれば、土砂降りに見舞われている区域もあり、春、夏、秋、冬と季節すらも超越する。
彼はしかし、少々の苦言を呈する。曰く「ここに定住するのだとしたら、突然の変化に対応するための新居が必要だ」と。だが、私はそれを推奨はしなかった。勿論、否定はしなかった。それが彼の望むものだとするならば、それを無碍にする権利はない。ただ、それでは価値は半減してしまう。であるから、私はこう諭すことにした。
「全ての魅力を甘受したいのであれば、変化に対応するのではなく、変化を受容することだ」
また、彼はこうも言った。「まるで織り葡萄が横たわっているかのような空は気味が悪くて仕方がない。この空もやはり変化するのだろうか?」と。
私は「この空は変わらないんだ。そういう世界だから」と説明した。彼は首を捻りながらも、しかし「受容すべきことなんだろうな」と厳然と立ち塞がる事実を受け入れる。私の親友だけあって、理解力を示してくれるところには好感が持てた。
次なる彼の疑問は、この世界――『Mystery Circle』に関することであった。抽象的ではなく、より具体的な。私は幾つかの言葉を選びつつ、周囲の状況を窺いつつ、ややあって彼に指を向ける。あくまでも、彼を指差したのではなく、彼の方向に指を向けただけ。我が親友を後ろ振り返らせるために。
そこにあったのは、折り重なる死体の群れ。真紅に染め抜かれたレンガの道、銃弾に穿たれた民家の壁、爆風に崩れ落ちた塀――惨憺たる情景。その様子を一瞥して振り返った時には、親友の顔は青ざめていた。
「こんなに恐ろしい世界に自分は放り込まれたのか?」
恐れおののいた顔で訴える親友。確かに、恐ろしい物語を展開する場面も存在する。しかし、それはこの世界の一部を切り取った断片に過ぎず、全ての価値を見出すには浅過ぎる理解。
そこで、私は右側に腕を伸ばし、指し示した。ゆっくりと――明らかに期待とは真逆の形相で、ゆっくりとそちらを向く。
郷里が広がっていた。『誰の』かは分からないが、ハッキリとそれを連想させるのどかな風景。そこは私の思い描く郷里でもなく、彼のものでもなかったが、見知らぬ誰かの胸裏の記憶であることに疑いはない。
率直に言って、私の親友は唖然としていた。いや、むしろ都会にはない自然の息吹に心を躍らせているようにも見える。鼓動は跳ねるリズムに、定期的に心臓を活動させるそれは脳を突き抜けるビートとなって、彼の興味を惹かせるには十分であった。視覚に投影されたイメージは嗅覚を揺り動かし、やがて五感を先鋭化させる。
だが、それで満足されては困る。私が思うに、この世界の肝要な点は白か黒かがハッキリしないことにあると考えている。それは、一時的にしろ確定しない、というものではない。ただ、不安定であり、変容する可能性を幾重にもはらむ場所。それを欠陥と見るか、長所と取るかで大きく価値は変動する。私がどちらに寄った嗜好なのかは言うまでもない。
しかし、である。私は彼に――ある意味――取っておきを明かしていない。それは輝きを放つエースであり、漆黒をたたえるジョーカーでもある。
今度は左を向くようにと、親友に指示した。彼は平和に和んでいたためか、なんの躊躇もなくそれに従う。しかし、それはれっきとした油断であった。
そこにあったのは、いわば先に見た景色の混沌。左半分は繁栄を極める、もしくは将来の発展を約束された開発地であるのに対し、右半分はあばら家と古びたマンションの立ち並び、犯罪が街路を謳歌する貧困。まるで九龍の表裏を圧縮しているかのような、陰と陽のコンストラクション。
これは極論であるかもしれない。が、私がこの場所を肯定するのを端的に表す好例でもある。
「一体、この冗談のような空間はなんなんだ?」
少々の怒号を交えた声音で、親友は苛立ちと不快感を露にした。その意見は、半分理解しているようでいて、実のところは理解を得ていない証明。
「君にはよさが分からない、か。とっぴも脈絡もないの世界が」
確かに、ここは昼寝をするには都合のいい陽光が昇り続けている空間ではないし、そもそも布団に包まれておちおち寝ていられるほど快適なところでもない。むしろ騒音の跋扈する、ある種の無法地帯ですらある。
注釈として、親友に更に付け加えた。この世界には登場人物がいる、と。しかし、同じ人物には出会えないだろう、とも。まったくの同一人物と出会ったとしても、必ずなにかを疑え。もしかしたら、まったく外見が同一であっても、まったく別の人格を持っているかもしれない。まったく同一の人格であったとしても、それはクラウンでパーツを取り合った末に出来上がったピエロのように、背格好、体格がまったく違うかもしれない。
親友にある教えを説いた。「この世界に存在するものは、全て疑ってかかれ」
「それにしても……」と親友は言い置き、今度は苦言――というよりは、もう私怨に近い文句としか言いようがない独り言を呟く。
「節句に合わせて、七草粥を突付いたり、鯉のぼりを立てたり、七夕の空を眺めたりなんてこと、無意味なんだろうな」
なぜ、あえて『節句』なのか真意を量りかねた私ではあるが、一〇秒ほどたっぷりと時間を費やし、それを読み解くことに成功した。親友は、季節的な行事として作る意味がないことを言っているのだ。七草にまつわるナズナの囃し、雄大に泳ぎ流される異色の鯉の群れ、太陰暦と太陽暦との時間差によって今では拝むことの少ない七夕の夜空――それらの意味の消失を彼は嘆いている。
しかし、それを嘆くことはあまり意味のないことだ。これだけ日常から切り離された世界に、むしろ『伝統行事』などというものが存在するとしたら、断罪に処するべき無価値に等しい。
更に私は、こうも付け加えた――ここにあるもの大半は完成を見ず、莟(つぼみ)のまま散って行く。
そもそも、切り取られた断片が完成していることがイレギュラーなのである。終わりのない、言い換えれば『不定形の未来』渦巻く世界が未完のままに崩れ去るその様は、桜の散り際のごとく美しい。
「この世界にどれだけの間、滞在すればいいんだ?」
苛立ちと呆れを含んだ親友の声。それに対する明確な回答を、私は持ち合わせてなどいなかった。だからこそ、その指標を探るためのアドバイスを投げかけることは出来た。
「一週間――七夜を過ごせば、恐らく答えは見えているに違いない」
逆説をするならば、この程度の余地しか残されていなかったのもまた、然り。
彼にとって、ここがかけがえのない快楽と癒しを与えてくれる無償の薬だけに満たされるのか、それとも、自壊をもたらすほどの混乱と中毒性をもたらす麻薬(ヤク)だけが蔓延する三途の川と化すのか。それは全て、親友の――ある意味に於いて卓越した――人格にかかっている。
私は、冒頭で「先入観を植え付けるのは本意ではない」と述べた。しかし、私が今していることは、明らかな先入観を植え付ける行為である。だが一つ念頭に置いてもらいたいのは、この世界が無秩序に溢れている特殊性を理解出来るか、これが重要なのである。理解しようとした結果に遠ざけてしまうのはやむを得ない。だが、異質なものを無意識で排除してしまう行為は、ハッキリと勿体のない行動だと断言する。ここが仮に、一般大衆に知られていて、公俗秩序に反する異物だと下馬評ごときに叩かれていたとしても、私にとってはどこ吹く風。
そのための、理解より前に先行した知識が必要なのである。私の親友はこの方清潔な環境で育ち、異質というものに慣れていない分だけそれを与える必然性が生まれる。
理解を得るための先立つ教養、早く理解することによる関係の亀裂の拡大阻止、それこそが過去の教訓――この世界で親友を一人、失ったことへの。
悲しきかな、人知を逸した事象への誤解は疑惑を生むものだ。
●《自己批評》
『タイトルの通り、『Mystery Circle』がモチーフになっています。小説としての「Mystery Circle」というよりは、それを現物として目の当たりにしたとしたら、という仮想事象です。
最近、Kraftwerkというドイツのテクノグループを聴きかじりまして、(まだ聴いていないものの)その中に『人間解体』というアルバムがあり、このタイトルをコンセプトのヒントにしました。
この小説の最大の特徴は、「せっかく『Mystery Circle』を話題にしたんだから、書き手として参加している全員の名前を出してみようか!」という、あとあと苦心するハメになったテーマで取り掛かりました。ちなみに、段落一つにつき一名、今回のお題の順番の通りに登場します。パターンはいくつかありまして、
・ほぼ、もしくはそのまま登場。
・読み方をそのままに漢字を変換。
・漢字を違う読み方にして変換。
・アナグラム。
・文字を分解・結合。
……記憶にある限りは上記の通り。特に、特定の人名を指していると推察される一茶さん、最初は読み方すらも分からなかった夏馬さん、そもそも既存の言語として存在しているのかどうか怪しいヤグタケさんが難産でした。おかげで、ところどころ少々苦しい箇所があるやもしれません。
実は、当初は各個人に割り当てられたお題すらも取り込むことを画策していたのですが、タイムオーバーにより憂き目を見そうなので、心のシュレッダーで処理しました。
前回のお題よりも発想が単純な分、純粋に制作時間がかかったせいで、ブログの連載分が……か、書かなくちゃ(;´Д`)』
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◎誤解は疑惑を生むものだ。
『最初から何もなかった』
著者:おりえ
誤解は疑惑を生むものだ。
男はしみじみとそう思いながら、信じられないといった目でこちらを見ている女をやれやれと見返した。
「信じられません。まさか、あなたが」
「俺が、何?」
うんざりとした口調で聞き返せば、女はぐっと唇を噛み締めた。
「あなたは知っていたはずです。私がどんなに楽しみにしていたか」
「いや、知らないよ、そんなの」
「嘘です!」
女はちゃぶ台をどんと拳でたたきつけた。…やれやれ、なんだって女って生き物は感情でしか動けないのだろうか。もう少し頭を働かせてみればわかることだろうに。
「わ、私は、最近の私の楽しみは、これしかなかったのに、あなたがそれを、台無しにしたんですよ!?」
「え、台無しって大げさすぎない? そんなむきにならなくてもさぁ…」
「うっ!」
女は一言呻くと顔を押さえて横を向く。出た! と男は思った。泣き落としか。そんな低脳な脅しにはもう屈しない。何しろこの女は誤解しているのだ。それを解いてやらねば、この馬鹿げた茶番劇に終止符も打てない。面倒なことだ。
「あなたにはわからないんでしょうね。蓋を開けた私の嘆きが。そこに広がる虚無を目にした絶望が!」
「わかるわけないじゃん」
アホじゃない? と言いたいところを、男はかろうじて耐えた。
「なんてひどい!」
女はもう一度ちゃぶ台をどんと叩く。ちゃぶ台の上に置かれた紙の箱が宙に浮いた。
「じゃあ誰が、私のシューマイを食べたって言うんですか!」
男は、ちゃぶ台に頬杖をつくと、あからさまなため息をついた。
勘弁してくんないかな。一応夫婦なんだし、こんな下らないことでなんで喧嘩しなくちゃならないんだろう。
2kの狭いアパートにふたりで暮らし始めて数ヶ月経つが、男は早くも女と結婚したことを後悔していた。これから先もこんなことが永遠に続くのなら、ここいらでこの誤解と夫婦生活に終止符を打つのも時間の問題かもしれない。
女は小腹が空いた時のためにと用意していた一箱のシューマイをレンジでチンしてちゃぶ台に置き、わくわくしながら蓋を開ければそこには半分しかシューマイが入っていなかったことに、驚愕し、次に怒りがふつふつと沸いてきたのだという。男は女のがめつさにあきれ果てた。別に欲しくはなかったが、夫である自分に少しでも分けてやろうという気持ちがさらさらないのがこの女の本質を現しているなと漠然と思った。
怒りに震える女を冷静に見つめ、男はもう一度ため息をつくと、シューマイの箱を指差した。
「それ、もう一回開けてご覧よ」
「は!?」
「いいから」
男の冷めた態度に震えながらも、女は無言でシューマイの蓋を開けた。
「ああっ!?」
「…」
そこには全てのシューマイがきっちりと詰まっていた。
「な、な、何故…!」
「いや普通に考えればわかるじゃん。蓋の方にシューマイがくっついてたんでしょ。それで君が今まで何度もちゃぶ台を叩いたから、その時に蓋から離れたんだ」
「そ、そうだったんですか…!」
女はわかりやすいほど脱力した。機械仕掛けだったら頭から湯気が吹き出ていたことだろう。男は濡れ衣を着せられたことへの謝罪を要求したかったが、無理なことはよくわかっていた。出会ってから今まで、この女は男を責めることはあっても謝ったことなど一度もないからだ。目の前で物凄い勢いで全てのシューマイを平らげ、途端にご機嫌になった女を半目で見つめる。女はすくっと立ち上がり、せっかくの休日なので、出かけてきますねとタンスを開けて、洋服を物色し始めた。男がその方がありがたいと思っていると、がさがさとタンスを漁っていた女の手が止まり、
「ああっ!」
あるものを手にして絶叫した。
「何、どうしたの」
のろのろと立ち上がって女の方へ近づくと、女は一枚の紙を手にぶるぶると震え、顔面蒼白になって男を見上げた。
「わ、わ、私…!」
「え?」
説明できない女から紙をひったくって広げてみる。
「……婚姻届?」
一瞬何のことだかわからずに、男は呆けた表情で女を見下ろした。女は青ざめたまま、男の耳に信じられない言葉を投げかけた。
「出すの、忘れてました…ごめんなさい…!」
「こいつはびっくりだ!」
ふたりのサインと実印が押されてあるそれと、女の口から出た恐らく最初で最後であろう謝罪の言葉に、男は感謝した。
ありがとう。今初めて、おまえを尊敬したくなったよ。
●《自己批評》
『特になし』
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◎「こいつはびっくりだ!」
『Mystery Circle』
著者:真紅
「こいつはびっくりだ!」
俺は一冊の本を手にし、そう言った。
朝のホームルームが始まる前のちょっとした時間。
とあるネットの友人に薦められて購入した物だ。
この本を持つと必ずしも不幸が起こるという曰く付きの本であった。
その本の題名は「闇の徘徊者」という。しかし、あまりメジャーではない。
内容は"内藤"というネットの掲示板の管理人が起こす予告殺人を調べる青年を描いている。
だが、俺が驚いている理由は他にもある。
その本の文句になっている青年の設定が、まるで自分の事を記したのではないかというぐらい似ていたのだ。
同じ学生で17歳。A型でいて座。ここまでは良くある話。
しかし、似ているのはそれだけではなかったのだ。
小学校の時にイジメに遭っていた事。中学校で荒れた事。高校で普通に過ごしている事。
なので、俺は読む前から既にその青年に深い親近感を抱いていた。
そのために気持ちはもう一日で読み切る勢いにまで達している。
序章。
"内藤"が、この事件を起こす引き金となった様々な辛い過去が書かれていた。
俺はその"内藤"の過去をこれからの展開のためにも心深く刻んだ。
続いて第一章。
普通の生活に疲れた青年が、ネットで"内藤"の存在を知り、惹かれていく場面。
何を隠そう、まだ読み始めたばかりの俺も"内藤"に惹かれ始めていた。
そんな時だ。
「・・・おい!!」
俺の肩を誰かが強く叩いたのだ。俺は咄嗟にその手が伸びてきている方向を見た。
「おい!先生来てるぞ!起立しろ!!」
何の偶然だ。それは学級委員でもある俺のクラスの内藤の手であった。
しおりを本に挟む俺に早く、とせかす内藤に軽く頷きながら起立した。
そして内藤の一日の始まりを告げるともいえる号令が教室に響く。
そのハキハキとした号令で俺はまた着席する。そしてすぐにまた本を開いた。
第二章。
その"内藤"のやっている事を噂で聞いた青年が調べている内に、被害者が身近に出てしまうシーン。
"内藤"の予告殺人の方法は非常にユニークで、ある御題を出し、答えれないと殺害するという物だ。
その時、授業が始まっているはずの教室に怒号が響いた。
俺は本を読んでいるのがバレたのかと思い、必死でしおりを挟み机に投げ入れる。
しかしそれは徒労に終わる。
俺は落ちてこないカミナリに周りを見渡すと一人の生徒が黒板の前に立っていた。
内藤だ。内藤が先生を怒らせていたのだ。
またか。何なんだ、この偶然は。
どうやら内藤は隣の奴と喋っていたみたいで、その内容がくだらない。クイズをしていたらしい。
内藤が出したクイズに隣の奴が答えれないのを、内藤が茶化した所を怒られたのだろう。
俺は内藤に対してした訳ではないが、ため息を付きまた本を広げた。
第三章。
いよいよ"内藤"に青年が接近する。青年が必死に核心に迫っていくシーンだ。
ここからは"内藤"の御題を受け取った人物数人と行動を共にする。
しかし、罠にはまり暗闇の中、恐怖と不安に駆られながら逃げる。
その途中に入る描写などは俺の想像を超える物で、どんどん引き込まれていく。
暗闇の中1人消え、2人消え・・・そのリアルな状況に少しだけ寒気を覚えた。
ふと、気付くともう授業は残す所1時限となっていた。
教室が少し暗い事にも気付き、俺は外を見る。雨だ。
あの内藤も、今では疲れたのか机に倒れ込みながら寝ているようだ。
二度続いた偶然もこれまでかと俺は鼻で笑った。
だが、今まで神や仏を信じた事は無かったがこの時だけは違う。
まさかここまで偶然が重なるとは・・・呆れて物も言えない。
なんとカミナリが落ちたのだ!しかも学校の電気系統にダイレクト。
その瞬間に、太陽が見えないせいで点けていた蛍光灯が消えた。
思いもしない一気に広がった闇の世界にクラスの女子が一斉に叫ぶ。
クラスの中の何人かがこれを良い事にバカ騒ぎをしている。
そのまた何人かは職員室に様子を見に行った。
途端に頭によぎる。『1人消え、2人消え・・・』
先生は先生達と何かしら話し合っている。
残りは皆唖然としている。
ここまで重なった偶然に俺は吐き気を感じていた。
途端にこの本が怖くなった。
俺は机に広げっ放しになっていた本を乱暴にカバンに投げ入れる。
しかし、上手く入らず本が勝手に開く。
ページが一気にめくれあるページで止まった。第三章の最後だ。
その文を読んだ俺は恐怖にもう何も言えなかった。
暗がりではあったが、全員の愕然とした様子が分かった。
●《自己批評》
『・・・内藤さんの名前、使わせて頂きました!!
あと、MCのタイトルで・・・ホントごめんなさい。。。;;
今までで一番考えて書きました。
だって来て欲しくなかった御題が来たんだもん・・・(ぁ』
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◎暗がりではあったが、全員の愕然とした様子が分かった。
『偽者だっていいじゃないか』
著者:高木京理
僕たちは裏山の洞窟で遭難してしまった。
それに付け加えて、たった今懐中電灯の電池が切れる。
暗がりではあったが、全員の愕然とした様子が分かった。
懐中電灯を持っていた畑中雄三(自称43歳、無職)が「こういう時こそ、気合だ!」と言った。
雄三はガツンガツンと平手で懐中電灯を叩き始める。
音を立てて、懐中電灯は点灯する。
ユウレイカと僕は叫ぶ。
意味を間違えたみたいだ。
スペルはEUREKAだと分かっていて、ユウレイカと叫ぶには場違いだ。
いや、そもそも叫ぶ必要なんてない、と高志の視線を感じたときにそれに気づいた。
僕の周りには、雄三、僕の母で康子、小学2年生で雄三の息子の高志がいる。
洞窟に行こうと言い出したのは、高志だった。
やんちゃな盛りの高志がそんな事を言い出して、俺もお兄ちゃんぶりを見せようと見栄を張った。無茶するな、そんな心の警戒音を無視させたのは雄三だ。
「そうだ、男なら冒険だ」
冒険の文字が頭に浮かんだ時には、わくわくして調子に乗って洞窟に入った。雄三の言葉を真に受けた僕がバカだったのだ。
本当の家族でもないのにね。
そんなことはどうでも良くて、大切なのは洞窟を抜け出す事だ。
灯りは何とかなった。そのおかげで地図も見つかった。
足元を見ると、キャンプ用のシートを広げいてる母の康子がいる。
「お茶でも、どう?折角、ピクニックに来たのよ。お茶ぐらい飲みましょう」
おっとり気質な世間知らず、頭の中身は年中お花畑なメルヘン母から自分が生まれた事が不思議でしょうがなくなる。
僕は至って現実主義だ。
熱血漢の雄三は
「そうだな、折角だし飲みましょう」
と右手にワンカップ200mlと印字された酒を握っていた。
呑むが違うだろう。飲むが!
とか一人突っ込みをいれつつ、隅っこでチョコンと座っている高志の視線が気になって、僕もキャンプ用のシートに座った。
高志は人見知りが強くて、臆病な子だ。
そろそろ皆が此処に集まった理由に気づいている。
雄三は、あさっての方向を見て叫んだ。
「慎也お前も大人になったら酒を飲むんだぞ」
情けない親父だ。
雄三は言葉を続けた。
「家族ってのは血の繋がりじゃね〜んだ。誰もが血が繋がっているとか繋がっていないとか気にしやがるけどな、そんなことはどうでもいいことなんだ。同じ時間を生きれたか生きれなかったか、それだけなんだ。」
僕は、皆と同じ時間を過ごしている。だから偽者かもしれないけど、家族になったんだね。
ずっと長い間待っていた。後悔してしまった。
だから、自分に関わっていたもの全てを憎んでいたんだ。
憎むって事は、生きる事だと思っていた。だから、ずっと続けていこうと思っていた。
むろん、そんなことはどうだってよかった。
僕は家族が手向けに来ている事を知る事が出来たから、成仏出来るみたいだ。僕の名前は、慎也。2年前に皆が迷い込んだ洞窟で死んでしまった人間なのだ。
●《自己批評》
『さてさて、今回もあとがきからスタートです。もうそろそろ恒例行事になりつつあります。
こうやって書きながら内容を決めちゃってます。今回はギャグにします。との事を内藤さんにはコッソリ断言している(お題が出された当日)ので、ギャグテイストで行こうと思います。
自分の持ちジャンルに無い小説に挑戦です。(持ちジャンルの三本柱は、SFと恋愛とグロです。)
新たなジャンル追加の挑戦です。
と今小説を書いている途中なのですが、なんか失敗した予感がします。
見栄を張っちゃいけませんね。とりあえずミソは避ける急場しのぎの物語になりました。ごめんなさい。キャラ設定とかも土壇場で、考えてしまって、脳内ではアフォ、愚図、タコと三拍子そろった脳内会議は大混乱中です。
ああああもうムリムリムリ、脳内でJOJOがオラオラやってます。てか、こっちの後書きの方が普通に面白く書けそうな気がします。ふざけつつ、状況を書きつつ、尚且つツッコミも忘れません。
何故だろう。普通に書けばそれなりにギャグっぽくなるのに肩に力を入れた瞬間グダグダっとへたれた感じです。
いや、確かに余裕を持てばよいのですけど、わかっちゃいるけど止められない。って誰のねた?とか思ったのですけど、元ネタ探すのが面倒なのでMCの誰かに任せます。
ああ〜〜、もう24日になりました。24日になって2分が過ぎました。
ありえないくらいにイッパイイッパイです。
終わらせる事しか考えていません。
ではでは、次のお題が来た時によろしくです。』
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◎むろん、そんなことはどうでもよかった。
『HELP!』
著者:BEAT
無論、そんなことはどうでもよかった。新しい家族?25歳にもなって血のつながっていない父親のことなんて考えたくもない。
頬づえついてテーブルを指でコツコツやっていると、父親になるその男が、ゆっくりと口を開いた。
「オーウ、タカフミサーン、ハジメマシテ。ワタシ、ジョン・レモン、イイマース。コレデモCDダシテイルンデースヨー。タイトルハ、ヒマジンイイマース」
ジョン・レモン?ヒマジン?こいつはリバプールに行ったら絶対ぶっ飛ばされるな、そう思っていたら、ジョンは恥かしそうに、2枚の名刺を俺の前に差し出した。
「ビートルズニ、アコガレテ、ジョンナンテ、ナノッテマースガ、ホントウノナマエハ、アングロサクソン・ペドラロドリゲス、イイマース。ウタヲ、ウタウノガスキナンデースガ、ソレデハ、オナカ、イッパイニナリマセーン。デスカラ、アル、バラエティーバングミノ、ザブトンカンリノシゴトシテマース」
あるバラエティー番組……間違いなく笑点だろう。ビートルズに憧れる男が、ずうとるびの下働きか、世間てやつは、実に皮肉に廻ってるもんだ。
そんなことを考えていると、お袋から着信が有った。
「すいません、母からなんで……」
俺はジョンに一礼し、ファミリーレストランの入り口へと向かう。
「何?俺もう帰りたいんだけど……」
「あら、サクちゃん、何か粗相でもした?」
「サクちゃん?やめとけよ、セカチューみたいじゃんか。それより、ジョン・レモンって何だよ!ヒマジンって何だよ!俺、敬愛するほどビートルズに思い入れがある訳じゃないが、そんな俺でもムカッと来たぞ」
「いいじゃない、それくらい。長州力の文字りやってる人がお茶の間の人気者の時代よ。あんたもヒマジン、買ってあげなさい」
「うーん、小力とレモンは同等かな?それはいいけどさ、あの人の何処に惹かれた訳?」
「南米から日本にやって来て、CDデビューまで果たした。そのサクセスにキュンと来ない?」
「はあ?全然分かんねーよ、だったら死んだ親父はどういう馴れ初めで結ばれたんだよ?」
「故人のことはいいじゃない、サクちゃん待たせたら失礼だからもう切るわね、じゃあ」
はぁ……なんて軽率な理由、肩を落としてジョンが居る席に戻ろうとすると、がらの悪い関西弁を使いながらしゃべり倒すジョンの姿が在った。
「せやから、買いやっちゅーたやろ!なにぼけぼけぬかしとんねん!はようさばいとけや!今?タレの息子とおうとる。大事な時なんや、ほな、切るで」
「ジョンさん、失礼しました。母からでした」
「オーウ、サワコサンカラデースカー。コンドハ4ニンデ、オショクジシマショウ」
「4人?もう1人は誰なんです?」
「ワタシノムスコノ、ショーンデスヨ。コトシデ23サイニナリマース」
「はあ、そうなんですか。それよりジョンさん、先程電話で雄弁に関西弁をしゃべられていらっしゃったみたいですが」
「オウプ!キカレテシマイマシタカ。アレハ、エイギョウトークデース。ナニワキンユウドウミテ、オボエマシタ。オショクジモ、スミマシタシ、マタゴジツ、オアイシマショウ。オカネハ、ワタシガハラッテオキマスカラ、ユックリ、コーヒーデモノンデ、カエッテクダサイネ」
「はい、ありがとうございます」
やっと、終わった……。胸をなでおろしたのはつかの間だった。
「く、食い逃げだぁー!」
ジョンの野郎、まさか!絶対あんなやつ、父親に認めないからな。
●《自己批評》
『今回もショート・ショートです。レモンやヒマジンの文字りよりも、突然思いついたサクちゃんというフレーズが気に入っています。
僕の思い込みなんですが、僕くらいの年齢の人(20代〜30代)って、両親の再婚って出来れば破談になって欲しいものではないでしょうか?離婚ならともかく、死別なら絶対そうだと思います。
いろいろ膨らみそうなプロットだとは思いますが、僕の理想は50行なんです。市販の小説も小刻みに章や節を挿入してくれた方が読み易いと思います。』
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◎胸をなでおろしたのはつかの間だった。
著者:ブラックジョーカー
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◎懸命に考え、ついに答えを見つけた。
『B#72 -Tears in a smile-』
著者:李 九龍
懸命に考え、典枝はついに答えを見つけた。
「あぁ・・・これはもう、探しようが無いや」
典枝は、規則正しく立ち並ぶ、建売一戸建て住宅を見ながらそうつぶやいた。
三年前に、彼氏と別れて以来、一度も立ち寄る事をしなかったこの町。 区画の整理と、徹底的な土地買収の成果なのか、前のごみごみとしたあの汚らしい町並みは面影も無く、当然、一緒に暮らしたあのアパートも存在しない。
全ては過去の遺物。 後はただ、うっすらと消え行くだけの記憶の中の世界。
典枝は、もはや二度と彼を見付け出す事は不可能なのだと悟った。
一軒の家の庭先から、車の来ない私道へと、子供が二人、ボールを追いながら駆け出す。
そりゃあそうだ。 何を後悔しているんだ。 私は、私の選択をしただけじゃないか。 私は、後悔しない選択をした筈じゃないか。
町並みが滲む。 見上げた空は、初夏の空だった。
「で? それが、涙メイクしない理由?」
控え室のテーブルの上に堂々と腰掛け、メイクを落とさないようにタオルで汗を押さえつつ、最近知り合ったばかりの仕事仲間である、「キョーコ」は、大笑いしながらそう言った。
「笑う場面じゃない! これはケジメなの。 私が本気で吹っ切れたら、キョーコみたいにそうするわ」
典枝は、鏡をにらみつつ、一生懸命にフェイスのメイクアップに勤しんでいる。
慣れた手付きで、典枝の顔には、どんどん、「クラウン」のマスクが施されて行く。
「甘い。 三年経ったら、心も変わるし、町並みも変わる。 あなたは夢を取ったんだから、未練ったらしく昔の男を探すような真似しちゃダメじゃん?」
「それは判ってるけど・・・」
「いや、良い方に考えようよ。 もしもまだそこにアパートがあって、あなたが彼氏の部屋まで行って、そしたらそこにはまだ彼がいた・・・と」
「うん」
「そしてあなたは・・・ただいまーっ! 今、修行を終えて帰って来ましたーっ! さぁ、これからは、二人の空白の時間を埋めましょーっ! ・・・って言いながら部屋に踊りこむ・・・と」
「・・・うん」
「そしたらそこには、見知らぬ女性と三歳ぐらいの子供が一人。 そして彼氏は、幸せ太りで見る影無しっ! ・・・どう? まだマシじゃん。 思い出に生きれるだけ」
そう言って、キョーコはけらけらと笑う。
典枝は苦笑しながら、ドーランのパレットを閉じ、仕上げのパウダーの容器を手に取る。
「とにかく。 私は涙のメイクはしない。 半分、意地みたいなものだけどね」
「そう。 いいじゃん、それも信念だ。 さぁ、行ってらっしゃい。 ヨーロッパ仕込みの修行の成果、見せといで」
典枝は、遊園地の中の、従業員専用の長い通路を歩きながら、ふと思う。
私の選択は、これで良かったんだよね?
私は、三年前、彼よりも夢を取った。 一流の道化師になりたいと願った私の選択を、彼は笑顔で送り出してくれた。 そうして私は、単身ヨーロッパへと渡って、道化師として、大道芸人としての修行をして来たのだ。
そして今、昔の素人大道芸人の私とは比べ物にならないぐらいに、豊富な技と、観客を魅了する術を身に付けた。
立派とは言えないかも知れないけど、私はもはや、これを職業としてやっていけるのだ。 しっかりと、夢は叶った。
でも・・・と、典枝は思う。
でも、もしも私が、夢よりも彼を取ってたら?
今と同じように、半分後悔してたかな?
キョーコが言うように、立ち退きがかかるまであの安アパートにいて、幸せ太りした二人が、あくせく子育てしてたかな?
通路の大きく重いドアを開けると、白い光の、夏の世界が、典枝を待っていた。
息を吸い込み、大きく一つ、ホイッスルを吹く。
皆が一斉に典枝を見た瞬間に、すかさず得意のクラブ・ジャグリング。 最初から、全開。 本領発揮。 ホイッスルのリズムに合わせて、クラブが大きく宙に舞う。 勿論、間抜けた失敗もお手のもの。
さぁさちびっこ寄っといで。 陽気なダンスミュージックで、典枝はパントマイムで風船を膨らます。
遊園地を歩く人々は皆、足を止め、典枝の大道芸に釘付けになる。 そして、一つの技、一つの芸が終わる度に、客は喝采を上げる。
典枝は、その瞬間が好きだった。 その瞬間を、皆が喜ぶその瞬間こそが堪らなく好きで、こんな夢を選んだのだ。
人一倍、不器用だった。 不器用だからこそ夢見て、不器用だからこそ、退けない意思で選択したのだ。
不器用だからこそ、こんなに努力したし、不器用だからこそ、両方を選べなかったのだ。
だから笑うんだ。 典枝は、心で、そう叫んだ。 涙のメイクなんかしてたまるか!
典枝が心からそう思い、精一杯の強がりで笑顔を作った瞬間に、典枝は宙に舞うボールを取り落とした。
続けて、残りのボールも全てぼとぼとと地に落ちて跳ねる。 その内の一つが、頭に落ちたのは幸いだった。 客は皆、それを見て大笑いをした。
ジャグリングの失敗は、わざとでは無かった。
典枝はそこに固まった。 動けなかった。
勿論、固まる理由があった。
典枝を見て笑う観客の中に、三年前に別れた時と同じ笑顔の彼がいた。
そして彼もまた、他の観客と同じように、典枝のおどけた技を見て、笑っていた。
少しずつ、客の反応が変わって行く。 不安そうな、不思議そうな反応。
典枝はすぐに気付く。 しまった、私は芸をしていない。
すぐに立ち直り、典枝は固まったままの姿勢で、ロボットパターンのパントマイムに切り替える。
アドリブだってお手のものだ。 壊れかけたロボットは、しょっちゅう止まって、自分で頭を叩いて立ち直るんだぞ・・・と。
再び、笑いが起こる。 今度はちょっとアップテンポな曲で、大騒ぎなダンスを踊ろう。
典枝は、まだ信じられない心持ちで、彼を盗み見る。 だがやはり、そこにいるのは、間違い無く彼だった。
途端、心が躍る。 身体も踊る。 足など、地を踏む暇も無いぐらいに、軽過ぎるステップを踏む。
見て。 どう? 夢を追った私は、こんなにも上手に笑えるよ。 こんなにも器用に、不器用を演じられるよ。
他の客と同じように、典枝の一挙一動を、大笑いする彼。 でも彼は、きっと自分に気付いてはいないだろう。 きっと彼が見ているのは、私では無く、ただの道化な一人のクラウンだろう。
でも満足だ。 ――― 逢えた。 もう一度逢えた。 そして、私の叶えた夢を見てくれている。
さぁ、もう一度見て。 もっと笑って。
そう思って、再び取り出した、得意のクラブ。
今の私と、同じぐらいに沸かせてあげるよ。
大切な貴方を代価にしてまで身に付けた必殺技。 私一人の技じゃないんだ。
さぁ、良く見て。 ずっと貴方に見せたかった芸だよ。
今の私は、きっと貴方を陽気にしてあげられる。
だが彼は、最後にもう一度典枝に微笑み、そしてそのまま、後ろを向いて去って行った。
典枝は、芸を続けられなかった。 今、逢いたくて逢いたくて、そして逢えた、望んだ彼が、そこから立ち去って行くのだ。
待って・・・の声が、乾いた舌の上まで飛び出た。 今、典枝を見て笑っている観客を突き飛ばし、彼を追いたい衝動と、懸命に戦った。
さぁ、選択だ・・・と、典枝は思った。
三年前と同じように、夢を追いたいと語った典枝に対し、結婚を切り出して来た彼に、どう返事をしようかと悩んだ時と同じ心境だった。
多分、今を逃したら二度と逢えない彼を追いかけるの?
それとも、貴方が叶えたクラウンとしての誇りを選ぶの?
――― 観客は再び沸いた。 典枝の、自信マンタンなクラブ・ジャグリングだ。 沸かない方がおかしい。
典枝は、観客の間からかすかに見える、彼の後ろ姿を見送る。
もはや彼のシルエットは、それが本当に彼なのかすら判らないぐらいに遠くにあった。
そんなに急いで、どこ行くの? そんなに急いで、あなたを待っている、誰の元へ行くの?
もう一度だけ逢えて良かった。 叶えた夢を見て、笑ってくれて良かった。
でもやっぱり私は、誇り高き道化師だ。 私を見て笑ってくれる人がいる限り、私はあなたを追えない。 あなたの名前を呼べない。
でも・・・私の一番の得意技ぐらい、見て行って欲しかったな。
典枝は、クラブを更に高く放ると、今度はもう一本クラブを増やす。
宙を舞うクラブと一緒に見上げた初夏の空は、限りなく高かった。
「あちぃ! この季節の重労働はキビシーね!」
キョーコは、自分の出番を終えて、大声で悪態を付きながら、控え室へと入って来る。
それを聞きながら、典枝は小声で、「お疲れ」と返す。
「・・・どう。 泣き止んだ? 次が最後だよ。 出られる?」
うん、と典枝は頷くと、鏡から顔を離し、笑顔でキョーコに向き直る。
「似合う? 涙のメイク」
そう言って笑う典枝の顔には、一粒の涙が描き加えられていた。
アンタはプロだよ・・・と、キョーコは笑いながら、典枝の肩を叩く。 そうして、大きな花束を、テーブルの上に置く。
「ホレ! 今日の最後の出番だよ! 客、沸かせて来な。 吹っ切れたクラウンの凄さを、見せ付けて来なよ」
どやされるように追い出される典枝は、控え室を出る直前に、綺麗な花ねと、笑う。
キョーコは、アンタもこんぐらい貰えるように頑張りなと、笑う。
控え室のドアが閉まると、キョーコは溜め息をつきながら微笑む。
「ゴメンね。 嘘付いて」 そう言って、花束を持ってその香りを嗅ぐ。 瑞々しい香りが、鼻腔をくすぐる。
「出番前にもう一回、また、メイクが崩れ落ちるほど泣かれたら困るからね。 ・・・そうしたら、私がもう一回出なきゃいけないし」
キョーコに花束を手渡した、笑顔の男性の事を思い出す。
「これ・・・さっきのクラウンさんに渡して下さい。 渡してくれれば判ると思うんで」
自分で渡せばいいじゃない・・・と断るキョーコに、彼は無理矢理花束を押し付けると、「今度こそは、最初から最後まで、彼女の芸を見たいんで」 ・・・と、笑いながらそう言った。
夜の遊園地。 そろそろ帰りの時間帯。
客はもはや、一道化師などには、足を止めないだろう。
どうぞ、思う存分、二人の時間を楽しみなさい・・・と、キョーコは心で皮肉った。
花束には、住所と電話番号入りのカード。 しかもしっかりと、「典枝様へ」と書いてある。
キョーコは、笑う。 笑いながら、指先で花びらを突付く。
「こんな、たかが名も無き道化師。 理由も無く、花束なんか来るはずがないんじゃない?」
●《自己批評》
『ちょっと前に観た映画に、スパイダーマン2ってのがある。
あのラストシーンにはベタ惚れでな。 無償で人を救う主人公に、「今度は貴方が誰かに助けられる番だ」って台詞に、グッと来た。
そうだと思う。 誰だって、人なんだ。 辛く無い筈が無い。
・・・な、訳で、「言い訳」すら語れない、人に幸せやら笑いやらを贈る、「クラウン」にだって、幸せが贈られてもいいじゃないかと思い、作った作品。
そして、今までひたすらに頑張って来た、友へと贈る作品。
タイトルと、校正。 サンクス。 俺からのせめてものプレゼント。』
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◎「理由も無く来るはずがない。」
『記憶のカケラ』
著者:フトン
理由も無く来るはずがない。
扉の前に立っている憐を見ながら私はそう思った。
だいたいこいつが何の用事も無くわざわざ私の家にまで来るなんてありえないことで・・・(そのくらいだったら自分の家に呼びつけているはず!!何せ悪魔だから・・)
現に満面の笑みを浮かべて玄関先に立っている姿は、私に嫌な予感を掻き立てるのに十分な要因がある。
「何のよう?」
あえてぶっきらぼうに答える私に、これでもかってくらいの微笑を浮かべて、憐が私の肩を叩いた。
「俺様が、わざわざお前の家まで来てやったくらいだから、大事にもてなせよ!!」
憐はそう言うと、まるで自分の家のように中に入っていった。
偶然にも台所から出てきた母親が、憐を見て、嬉しそうに声を上げる。
「憐君。いらっしゃい。」
「こんにち。相変わらずお若いですねW」
いかにもお世辞な言葉を並べる憐に、母はとろけそうな顔で『嫌だWW』といい、私は吐きそうになる。
そんな私に気付いているのかいないのか、存在自体無視なのか憐は、母に誘われるままリビングへと入っていった。リビングのドアが閉まる前に顔だけ出し、私に・・・
「出かけるから、用意して来い!!」
とだけ言い残して・・・(偉そうだよね・・・きれそうだよ・・・)
私の反論が出る前に、ドアはしっかり音をたてて締まっていった。
私は、項垂れたままに二階の自分の部屋へと向かった。
☆☆☆☆☆☆☆
憐の後ろを3歩下がって私に気にする事も無くどんどん歩いていく憐にイライラしてしまう。
こいつの後ろを歩くのは、何故か習慣になっていた。
何時もクラスの女の子達に囲まれている憐!その周りの女の子達になるべく睨まれない様に憐と並ばないように歩く事で、少しでも軽減させようとしているうちに付いた癖だろう。
まあ、結果として何も効果をしめさなっかたのだけど・・・
そんな私の苦労さえも憐にとっては、極上の暇つぶしなわけで・・・・
何だか自分の間を歩く、憐を殴り倒したい気分になってくる。
そんな私を察したのか、突然憐が口を開いた。
「これから楽しい事がまっているんだから、もっと楽しそうにしろよ。」
・・・・・・・・・・・・
一瞬にして嫌な予感が頭の中を駆け巡った。
憐の楽しい事といって、いい事があったためしがない!!
それでも、断る事の出来ない自分に腹立たしい気持ちになりながら、私は仕方なく憐の後を付いていった。
付いて歩いていくと良くある小さい公園にたどり着いた。
私も小さい頃この公園で遊んだ記憶がある。
家の近所という事もあって、本当に良く遊んだ。あの事があるまで・・・・・・・
私は何だか小さくなったブランコや滑り台を見渡した。
憐がそんな様子を無視して、砂場の方へと歩いていく。
私は慌てて、その後を追った。
「ここでさ、小さな女の子が毎日夜になると遊んでるんだって。なあ、面白い話だろ?」
私は何故か驚くことも無く、その言葉を受け入れた。
その様子に不満げな憐が私の顔を覗き込んだ。
「お前、知ってたのか?」
その言葉に軽く頷き、砂場に足を入れる。
「知ってるよ。ずっと前から・・・」
憐が不思議そうに私を見た。
「じゃ!何でこんな面白そうなこと、黙ってたんだ?」
私は軽くスナを蹴り上げると、憐の方へ向き直る。
「面白いことじゃないから・・」
何時もと違う私の反応に、何かしら異変を感じたのか憐が押し黙った。
「今日はもう帰ろう・・」
私がそう言うと、憐が珍しく素直に私の言葉に従い、くるりと踵を返し歩き出した。
私はその後ろを静かに着いていった。
あの日、私の身に起きた不可思議な出来事を、何年かぶりに思い出しながら・・・
☆☆☆☆☆☆☆
梅雨も上がって青空が広がりだしたこの時期に、私の心は空とは正反対に重く暗かった。
「乃亜!!お前聞いてるのか?」
突然私の右耳に痛みが走り、激痛に顔をゆがめる。
「痛いってば!!憐!!」
憐の手を引き剥がそうと必死な私に、クラス中の女の子の視線が突き刺さる・・・・・
(こんないじめにあってるのに・・・かわいそうな私・・)
クラスの女の子達からすれば、憐に付きまとっているように見えるらしい・・・
声を大にしていいたい
『私は無実だwwww!』
と・・・
まあ、無理な話だけど・・
「で、何の話?」
「やっぱり聞いてなかったのか?この間の公園の話だよ!!」
「あ・・」
憐の言葉に私はまた口を閉ざした。
あの公園のことはまだ話したくは無かった。なぜって、私にとってあの公園で起きた出来事は一生消える事の出来ない傷なのだから・・・
「お前、何隠してるんだ?」
憐の言葉に俯き、何時もの突っ込みも無い私に、憐は私の手を掴み教室を飛び出した。
私は、驚いたまま引きずられるように憐に付いていった。
☆☆☆☆☆☆☆
引きずられるままたどり着いたのは、一軒の大きな家だった。
綺麗に飾られた花々が優しく風に揺れていた。
「憐?」
訝しげに顔を歪める私の手を話そうともせずに、憐がその家のインターホンを押した。
「すみません。この間、連絡した加住です。」
『あ・・はい。どうぞ、中にお入りください。』
優しいでも儚げな声の主に、誘われるまま憐は私の腕を引っ張ったまま中に入っていった。
中に入ると、暖かな香りと優しそうな女の人が出迎えてくれた。
でも、私は凍りついた・・・・
(彼女だ!!)
体の中の何かが警報を鳴らしている・・・でも、ここから逃げ出せない!!
瞬間憐の手が私の手を握り締めた。
目だけで私に伝える・・・
『逃げるな!!』
憐はもう、知っているようだ・・・私に起きたあの事件を・・・
「乃亜さんね?良く来てくれたわ。」
女の人は優しく微笑み、私を家の中へと招き入れた。
☆☆☆☆☆☆☆
女の人は、有木 ののかと名乗った。
ののかさんの入れた、ホットミルクティーが湯気を立てて部屋中に、優しい香りを運んでいた。
私の気持ちとは正反対の、この空間に戸惑いながらも、暖かいミルクティーに口を運ぶ。その優しい香りに心も少し落ち着きを取り戻す。
今は何時もは、あんなに触られるのが嫌な悪魔の手も暖かく感じて・・・繋いだままにしてしまう自分がいた。
「私の娘を知っていますよね?」
ののかさんの突然の質問に戸惑いながら、私は、微かに頷いた。
「あの子は、幸せそうですか?」
その質問に、私はまた、凍りつく。
あの時、私があの子にした仕打ちは・・・・許されるのだろうか・・・
憐の視線が私へと向けられる。
ののかさんは、何かを察したのかその後は何も尋ねなかった。
無言のまま、時だけが過ぎていく・・・
何も話す事も無く、私達は、ののかさんの家を後にした。
帰り際にののかさんが、優しく『また来てね。』と言ったのを私は、直視できずに聞いていた。
☆☆☆☆☆☆☆
夕闇がそこまで迫ってきていた。
憐の顔も、私の顔も紅色に染まっていて、憐の表情が良く見えなかった。
気が付くと私達の足は、あの公園に向かっていた。
あんなに行きたくなかった場所なのに、自然とその方向に歩いていく。
公園の中は、もう誰も居なくとても静かだった。
夕闇にゆれるブランコに、誰も居ない滑り台・・・何もかもが淋しく物静かだった。
私は憐の隣を離れ、砂場へと向かっていく。
置き去りにされた子供用のバケツと、シャベルが物も言わずに転がっている。
それを拾い上げ、握り締める。
「ごめんね。淋しかったよね・・・」
知らずに流れ落ちる涙に・・胸が詰まる。
いつの間にか憐が私の後ろに立っていた。
「何があったのか・・・本当は知っているんでしょ?」
私の問いに憐が頷いた。
「お前が小学生の時に、ここで遊んでいた事はおばさんに聞いたんだ。霊感の強いお前が、あの子の事を知らないはずは無いと思って、ちょっと調べた。」
私は、顔を上げ憐を見つめると、憐の言葉を、続けるように話し始める。
「あの頃、まだ自分の力の事は良くわかっていなくて・・・いつもここで遊んでいた女の子と仲良くなったの・・」
そこまで言って、また涙が溢れてくる。
「女の子は、いつも私に言ってたの・・・ずっと友達よって・・・でも、私は気付いてしまった・・・彼女がこの世のものじゃないって・・」
恐かった・・・自分でも信じられないくらい・・・小さい自分の心が恐くて恐くてはちきれそうだった・・・・
「私は・・・逃げたの。彼女から・・・毎日、この場所を通っても、無視し続けたの。彼女が見ていても・・・彼女が助けてといっていても・・・私は・・・・無視したのよ!!!」
その場に泣き崩れる。
あの女の子が、悪霊と呼ばれる類に成っていくのが分かっていながら・・・私は彼女を・・・見殺しにした!!
伸ばされた手を・・・払いのけてしまった・・・・自分のエゴの為に・・・・
砂を握り締め、叩きつける!!
微かな音をたてて砂埃が上がる・・・
「仕方が無いだろ・・・お前だってまだ小さかったんだ・・」
憐がそう言って、私の肩に手を置いた。
「でも、裏切ったのよ!!あの日、誕生日の日!!あの子は私が来るのを待ってた。自分が少しずつ消えていっているのに・・・わたしに誕生日プレゼントを渡すために・・・ここでずっと待ってた!なのに・・なのに・・・」
私は、そんな彼女までも・・・・無視した!!存在ごと・・・無視した!!
ジャリっと砂を踏む音がして、私は顔を上げた・・瞬間!!目を見張った!!
あの子が・・・立っていた。
悲しそうな顔をして・・・
私は凍りつき、彼女を見続けた・・・・
憐は何が起きたのか理解できないような顔をして、でも、ただ私の行動を見つめていた。静かにただ、黙って・・・
「どうして・・ここに・・・」
私の震える声が空を舞う。
『ノアちゃんを待ってたの・・・』
そう言われ、背筋が凍り付いた・・・・連れて行かれる・・
そう思った私に、女の子は優しく微笑んだ。あの、ののかさんにそっくりな笑顔で・・・
『ノアちゃんにありがとうって、言いたかったの・・』
驚きが全身に走る。
「怒ってないの・・・?」
女の子は確かに頷く。
「だって、私は貴方が消えていくのに・・・悪霊になっていくのに・・見捨てたのよ!!」
女の子は首を振った・・・
『見捨ててなんて無いよ?あの時、泣いてくれたもん。みぃの為に泣いてくれたもん。』
みぃちゃんがニコニコしながらそう言った。
『公園に来てくれたでしょ?あの日ノアちゃんの誕生日の日・・みぃ嬉しかったの・・・だから消えなかったんだよ。のあちゃんのおかげなんだよ?』
少しずつあの日の記憶が甦って来る。
あの日、みぃちゃんを無視した、私の誕生日の日・・・・罪の意識に耐えかねて私は、一度この公園に来た・・・
正確には・・・入り口まで来て引き返したのだけど・・・
何度も何度も誤りながら泣きながら、家まで帰ったあの日・・・・私は、ひどく傷ついていた・・・
『全部見ていたの。ノアちゃんがあたしのために泣いてくれたのも・・・全部だよ・・』
みぃちゃんは全てを見ていた・・・なのに私を許してくれるの?
憐が私の肩に手を置く。
「あの子がいるのか?」
私は、しっかりと頷いた。
憐はそれを聞くと、ゆっくりと後ろへと下がった。そして私が見えるところにあるベンチに座り、黙って様子を見ていた。
何時もの悪魔は何処へやら、今日の憐は天使の様に優しい・・
私はただそばに憐が見ていてくれるだけで、少し落ち着いていった。
『のあちゃん。みぃはもう大丈夫だよ。これ・・・誕生日プレゼント・・』
みぃちゃんの小さな手のひらに握られた物を受け取る。
それを受け取った瞬間、みぃちゃんはゆっくりと消えていった・・・・
まるで風に舞う、花びらのように・・・とても綺麗な光に包まれて・・・・・・
私は、それを静かに見送った・・・・・・・
温かい風が辺りを包み込んでいくこの公園で・・
☆☆☆☆☆☆☆
「そっか、そんなことが・・・」
すっかり薄暗くなった公園のベンチで私は、みぃちゃんとの間にあったことを憐に話した。
憐は話が終わるまで、真剣に茶化すことなく、私の言葉を聞き続けた・・・・
「乃亜は、悪くないぞ!お前は、がんばったよ。今日だって逃げなかっただろ?」
私のひとみに涙が溜まる・・・
「私の所為で、みぃちゃんは危険な思いをしたのよ!!なのにあの子は私を許してくれた!!わたしに・・・プレゼントまで・・・」
手のひらに握られた、小さなガラス球・・・・みぃちゃんの心のように綺麗に澄み切っている。
あの日、みぃちゃんが私にくれようとした物は、みぃちゃんの心なのかもしれない・・・・・
涙が溢れて止まらない・・・・ひどく傷つけた幼い心を、私は・・・・・何を返せるのだろう?
・・・・・・・!!!!!
不意に、抱きしめられ何が起きたのかと、自分に問いかける・・・
意外と広い憐の胸板に、包まれて驚きと安心が交差する。
「気付いているんだろ?みぃちゃんが何故、今になって現れたのか?だから、もう泣くなよ・・」
憐の心臓の音が、生きている証のようにこだまする。
「乃亜が、これから背負っていく事を、みぃちゃんは知っているんだ。乃亜がこんな力を持っていると知ったあの日・・・みぃちゃんは知ったんだよ・・乃亜のこれからやらなきゃいけないことを・・・だから許した。そのお陰で、みぃちゃんは悪魔にならずにすんだ・・・それは、よっかっただろ?」
私は頷く・・・あの小さな手は・・・少なくとも守られた・・・
憐の腕の中に包まれて・・・・気持ちが落ち着いていく・・・
「これから、どんな事が起きても、そばにいてやるよ。」
憐の一言に、私は素直に頷いた。
きっと、あの日みぃちゃんとの事が無ければ、私は気付かなかったのかもしれない・・・・
私は、憐の腕から逃れると・・
微笑んだ。
自分に言い聞かせるように・・・・こう言った。
「あの誕生日って、きっと、自分と知り合った日なんだろうね。」
みぃちゃんが笑っているような気がした・・・・・・
●《自己批評》
『遅くなりました・・・・もうもう・・ごめんなさい^^;何時もの二人ですが、少し恋愛物っぽくしてみました。
何時ものコメディーではないのですが・・・・このお話は、ちょっと、重い作品になってしまいました。奥にあるテーマミタイナモのが伝わるといいなwみたいな感じで・・まぁ、フトンの能力では上手く書ききれませんが・・・あぁ、次はみそにならないようにがんばります。』
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☆誕生日って自分と知り合った日なんだろうね。
著者:Clown
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☆だれでも、出会った瞬間から、別れに向かって邁進しはじめるのさ。
『びわの木のある家』
著者:なずな
だれでも、出会った瞬間から、
別れに向かって邁進しはじめるのさ。
そういうものなんだ。
誰だって いつまでも 一緒にいられるわけじゃない。
解ってたはず。
解ってたはずさ。
いろんな人に抱っこされ、
色んな手で撫で回されて
連れて行かれて
また同じところに戻された。
また 連れて行かれて
今度は自分で逃げ出して
そうやって 結局 オイラ独りで生きてきた。
一緒に暮らそう。
ヨリはそう言って、オイラをあたたかい服でくるんでくれたね。
鼻水垂らした汚い顔を きれいなハンカチで拭いてくれたね。
ありがとう、ありがとう。 でも
永遠なんて どこにもないんだよ。
*
鼻水たらした猫を抱いて
ヨリはあたしの家のドアの前でぼんやり立っていた。
「ばか、何連れて来てんだよ。
ウルサイご近所にバレたらどうすんの。」
ヨリとあたしの住む、このマンションは犬猫飼育禁止である。
大急ぎでドアを開け、とりあえずヨリを玄関に引っ張り込んだ。
深夜のマンション、ドアの開閉の音だって気を使う。
看護師の母が夜勤で留守なので 今うちにはあたしひとり。
小学校の頃からこんな夜ヨリは 宿題と夜食を持ってよく泊まりに来た。
「ヨリ、ココアでも入れるっか。
ソイツはミルクとか飲むのかなぁ?」
ダイニングキッチンの小さなテーブルの
3脚目の椅子は ほとんどヨリ専用。
足が床に届かないくらいチビの頃から 今まで
それは ずっと同じ。
ヨリは マグカップを両手で包んだまま
口もきかず、瞬きさえせず 固まっている。
カップからゆらゆらと湯気が立ち上ってでもいなければ
誰かが 一時停止ボタンを押して
全てを停止させてしまったんじゃないか・・そんな気になった。
そして これが永遠に続くのではないかと恐ろしくなった時
猫がたて続けに 大きなくしゃみをした。
ヨリの黒目がうろうろ動き
やっと ぽそぽそ、語りだした。
*
うちね、来月引っ越すって言ってたじゃない?
昔からさ、あたしと麻美さん(ヨリは母親を名前で呼ぶのだ)
日曜日には ぶらぶら 家見てまわるのが趣味だったんだ。
古臭い、縁側のある平屋。
ペンキのはげた木枠の窓。
庭に猫が出入りして、大きなびわの木とかある家。
ステテコ姿のおじいちゃんとか住んでそうな家、
そういうのに憧れた。
庭に植える花の種類や 垣根の柵のペンキの色
何匹も飼うつもりの猫たちのことなんかを 二人で好き勝手に想像してたら
それだけで ふわふわ楽しかった。
日曜日って 買い物に行くと家族連れが多いじゃない?
何となく二人、スーパーマーケット通り過ぎて
当てもない散歩したの。
だからさ、麻美さんが あの家に住もう、
引越ししようって 本気で決めて来た時、
あたしと麻美さん・・・猫のいるのんびりした静かな日常
そんな生活を 当たり前のように思い描いてたんだ。
シンちゃん、解る?
私が「それ」を知った時どんな気持ちになったか。
*
ヨリがその猫を抱いて、バイトから帰ってきた時、
玄関には男物の靴があった。
─(麻美さんの現恋人の)秋山さんが来てるのか・・
ヨリはそういうの、別に気にしない(と、ヨリは言う)
ヨリをうんと若いころ産んだ麻美さんは
ヨリの父親と別れてからも 常に恋をしている。
恋人が変わると服装や雰囲気で すぐに解るし
そういうことを 全く隠さない人だ。
─誰とも長続きしないのは 私がいるせいなのかなぁ・・
ヨリがあたしに、悩みを打ち明けた時もある。
─どうやらそれも彼女の恋愛のスタイルのようで
ヨリのせいではなさそうだ・・、
本当の意味で当たっているのかどうかは、未だ解らないけれど
幼いあたしたちの出した、それが結論だった。
恋人と別れた夜は ヨリが彼女をよしよしと慰めて眠らせる、
そんな ヨリんちの母娘関係も
聞き慣れればなかなか ほほえましく感じられた。
「麻美さん、この猫 見て。ほら、くしゃみばっか すんの。
風邪でもひいたかなぁ・・
お医者さん連れていこうと思ってさ。
実はね、ずっと前から公園でよく見かけてて、
すっごく気に入ってたんだ、この子・・」
痩せているため、目ばかりがぎょろりと大きいその猫を見たとたん
いつも お洒落で落ち着いた笑顔の秋山さんが
「ぎゃっ」とも「ひゃっ」ともつかない奇妙な声を出し、
麻美さんの後ろに こそこそ隠れた。
「来月には 引越しするんだし
今度は飼ってやれるんだから ねぇ、少しの間なら
ここで、様子見てやってもいいよね。」
クシャミ(あたしが今命名したんだけど)は、
ペットショップに行けば、あたしのバイト代の何倍もする値札をつけているような
特徴のある毛並みを持った猫だった。
野良なのは 何か事情で捨てられたんだろうか。
ヨリが知ってる間だけでも、何人かの子どもが家に連れて帰ったという。
なのに、いつの間にかまた 公園にひょっこり顔を出す。
─また 捨てられちゃったの?それとも自分から逃げて来たの?
─ 悪い病気なんかじゃ、ないよね?
ヨリは汚れたその猫を抱き上げてほおずりする。
あたしには猫のことは解らない。
*
「結婚するって。」
冷めてしまったココアを、くるくるかき回し、
できた渦をじっと見つめたまま ヨリはやっと、先を続けた。
感情を抑えた 色のない声。
「今度引っ越す家に一緒に住むって言うんだよ、あの人も。
そんな話聞いてないよ
今まで 全然聞いてないよ。」
「あの人って・・秋山さん・・?」
ヨリは小さな子どもみたいに コクンとうなずく。
「いいかもよ、やっと長続きする人にめぐり合えたんだ。
ヨリは、麻美さんの恋愛、応援してたんじゃなかったっけ?」
あたしの母も数度、「子ども(あたしのことだ)のために」と薦められ、見合いをした。
色々屈折した子ども心や思春期の思いを えいっと乗り越え
母さえ気に入ればどっちでもいい、と思えるまで あたしも「進化」した。
だけど結局 未だに、ご縁のないままだ。
「あの人さ、苦手だから 猫は飼いたくないって言うんだよ。
それも、そんな病気の野良猫なんかって。」
猫が クシュンとくしゃみした。
鼻水が出たので ヨリにテッシュを箱ごと渡す。
「それだけじゃないんだ。それだけじゃなくって・・麻美さんなんか・・。」
「どうしたよ?」
「・・・いずれ、あたしのイモウトかオトウトを産みたいんだと。」
猫がまた くしゃみした。
*
ヨリはその後ずっと押し黙ったままだ。
麻美さんが迎えに来ても、帰らない。
思い描いてた「びわの木のある家」が
急にすっかり違う風景になってしまったのだ。
ヨリだって混乱しているのだろう。
クシャミの鼻水を拭くヨリを見ながら、あたしはずっと考えていた。
わざわざ布団を敷いてやったのに
ヨリはあたしのベッドにもそもそ入って来る。
いいや、どうせ寝付けないんだし、一晩中愚痴 聞いてやろう、
そうハラくくったのに、ヨリはうつ伏せになったまま わざとらしい寝息を立てている。
話しかけても ひとことも返事しない。
猫は外に出たいのか、カリカリ窓やドアを引っ掻くし
やっと うとうとしかけたら 鼻水撒き散らしてくしゃみする。
その晩、あたしは一睡もできなかった。
*
次の日、あたしは学校で爆睡、
ヨリはクシャミを医者に連れてったまま 学校には来なかった。
家に帰ったらまだヨリがいるんじゃないか、
あたしはキャットフードをお土産に買って、慌てて家に帰った。
家のドアを開けたら いきなり母が待ち受けていて
「家に帰って 麻美さんとよく話し合うように、説得したから。」
ため息ついて あたしに言った。
あたしも ため息・・。
*
同じ学校だけど、ヨリとはクラスも選択授業も違うから
あまり会えないし、話す機会もない。
それでも 通りすがりを装って様子を見に行くと
案の定、何もかも上の空って顔してた。
やっと 機会を見つけて ヨリに話しかける。
「クシャミ、元気か?」
「うん。だいぶ良くなったけど、結構タチの悪い鼻炎らしくてさ。
医者に通うため 隠して連れ出すのに気を使うよ。」
ヨリの手には、就職の手引きや進路指導のプリント。
あたしの視線に気がついて、ヨリは言った。
「やりたい勉強があるわけじゃないしさ、
就職して 家 出てみるのもいいかなって・・。
猫飼っても文句言われない住み家探すんだ。
いい機会だしさ、麻美さん、子離れさせてやろうかな、なんてね。
問題は 学校卒業するまでだ、さて どうするかなぁ・・。」
「麻美さんには、ちゃんと相談してるの?」
先に歩き出したヨリを追いかけて 後姿に聞いた。
返事がない、と諦めた頃 くいっとあごを上にしてヨリは答えた。
「大事なことを全然相談してくれなかったのは
麻美さんだって 同じじゃない。」
*
よりちゃんへ
ずっとたのしかったよ。よりちゃんがいてよかったです。
ありがとう。さようなら。
ひより様
ありがとう。もう一度生まれてきても
ひよりちゃんの ペットになりたいです。
ヨリへ
ちょっと ぼうけんの旅に出ます。
またね。大好きだよ。ありがとう。
・・って、ピーちゃんが言ってたよ。
元気出してね。
こんな手紙を今まで何度 あたしはヨリに書いたことだろう。
ペット禁止と言っても小動物はOKなので、小鳥、金魚、ハムスター
ヨリの家には 今まで色んな生き物がいた。
そして その生き物が死んでしまう度(行方不明もあった)、
落ち込むヨリを見てられなくて
あたしは そいつ等の手紙を「代筆」してきたのだ。
そいつ等の「ほんとうのところ」なんか 知らないけど、
それがあたしの冴えない頭で考えた、精一杯のことだったのだ。
ヨリと麻美さんと「びわの木のある家」、
二人の思い描いてた 猫のいる暮らし。
取り戻せないものって 死以外にも やっぱりあるんだろうか。
*
「クシャミがいないの。どうしよう
・・あの子、まだ 治療中なのに。」
夜遅く 泣きそうな顔でうちに飛び込んできたのは 麻美さんだった。
「ベランダの窓が開いてたの。私 気がつかなくて・・。」
「ヨリは?」
「外、探すって 飛び出していった。」
「解った、あたしも行くよ。」
「待って、私も。」
部屋の留守番をあたしの母に託すと、
あたしが靴を履くのも待たず麻美さんは先に駆け出した。
マンション中「クシャミ、どこ?」の声を響かせて。
*
あたしたち三人、必死で探し回った。
だけど クシャミはどこを探しても見つからない。
「明日、また公園に行ってみよう。いつもあそこに戻ってた。
心配ないよ、大丈夫だよ。」
慰めてたのはヨリの方だった。
「さっき、あの人・・秋山さん来たよ。すぐ帰ったけど。」
額に汗、手に土、身体に草のにおいをつけ、
疲れ切った表情で帰って来たあたしたちを迎えたのは
憮然とした表情の母だった。
ヨリと麻美さんにおやすみを言って家に帰ると
あたしは二人分のコーヒーをいれ、
さっき母が言わないでいた何かを 無理やり聞き出した。
事情を話し、今手分けして探してるはずだ、と説明すると
秋山氏は 速攻、言ったそうだ。
「とりこみ中みたいだし、僕、帰ります。」
そして 続けて 出た言葉。
「猫って、自分の死期を悟ると 姿くらますとか言うしなぁ・・。」
息を弾ませたヨリの顔が浮かぶ。
そして、ヨリ以上に真剣な麻美さんの表情。
あたしなら結婚相手が猫嫌だったとしても、それだけなら全然構わないけど
麻美さんの男を見る目、大丈夫なのかな・・
あたしは ヨリのこと思って不安になった。
*
─ヨリへ
オイラは独りが 案外好きで・
やっぱ、きままに暮らします。
いつも気にしてくれてありがとう・・・
─もし このままクシャミが見つからなかったら・・。
勉強も手につかず、そんなことばかり考えていた。
まさか 死んじゃったりしないよね、クシャミ。
もやもやした気持ちで あたしはヨリ宛のメールの画面に文字を打ち込んでいた。
でも、あたし自身、子どもの時みたいな純粋な気持ちには遠い。
「だれでも、出会った瞬間から、別れに向かって邁進しはじめるのさ。」
どこで聞いたんだか、そんな どうしようもないフレーズが 頭に浮かんで離れなかった。
─ こんなのちっともヨリの慰めに ならないや・・
解ってるのにそんな言葉ばかりが画面に ずるずる連なっていく。
もし このままクシャミが戻ってこなかったら、
ヨリは麻美さんと 暮らせるんだろうか。
あの 秋山さんとも暮らせるんだろうか。
「くしゅん」
猫のくしゃみが聞こえた。
ベランダの網戸と、あたしの部屋のクローゼットの扉が
少し開いていた。
*
朝から 引越しのトラックが来て
ヨリん家から荷物が運び出されていく。
麻美さんは相変わらずモテるようで
嬉々として引越しを手伝う男、数人確認。
「もういいのよ、あんな男。」
麻美さんは笑う。いい笑顔だ。
「どこが好きだったのか 解らなくなっちゃったし。」
それでも きっと散々泣いて、ヨリに慰めてもらったんだろう。
髪も ばっさり切って、ショートになった。
─ あの人ってさ 猫嫌いなだけじゃなく、赤ちゃんも好きじゃなくって
おまけに新築のマンションでなきゃ嫌だなんて 言い出したんだよ
ヨリが呆れ顔で あたしにこっそり教えてくれた。
クシャミの入ったキャリーバッグを、交互に覗き込んでは笑い合ってる、
そんなヨリと麻美さんを離れて眺めていた。
荷物が運び出された がらんとしたヨリの家に 風が吹き抜けた。
「ひよりちゃんだって、いつかは親離れするのにね。」
母は あたしの肩に手をやった。
いつの間に あたしは母の背を抜いたんだろう。
*
クシャミが帰ってこなかったら・・そう思って書きかけたメールは
削除ボタンで「ゴミ箱」に入れた。。
恥ずかしいので 極力思い出さないようにしているが
あの妙にセンチで救いのない文章の最後に、
あたしはこんな言葉を打っていた。
「人間てさ、たった一匹だけにしちゃうと死んじゃうんだって。
だからさ、アンタはずっとそばにいてやってよね。」
クシャミはそういって あたしにヨリを託して行ったんだよ。
*
シンちゃんへ
ここは とても居心地のいい家です。
鼻の具合も ずいぶん良くなりました。
シンちゃん、ボクは最初にミルクをくれたシンちゃんが
とても好きです。
シンちゃんのクローゼットはあたたかくて もぐりこんだら気持ちよくなって
ついつい 眠ってしまったんだよ。
いっぱい探してくれて ありがとう。
そうそう、ひよりも元気です。
ひよりも シンちゃんが大好きで お隣同士になれて良かったって
言ってます。ずっと仲良しでいてやって下さい。
びわの実たくさんつきそうです。
ころころしたびわの実を見てると
いつか 麻美さんにころころ赤ちゃん生まれたら
それも 楽しいかな・・
そんな 気もします。
ヨリの引越しから数日して あたしん家のポストに手紙がきていた。
差出人の住所は「びわの木のある家」
「クシャミから」の手紙だった。
ヨリの丸っこい字が並んだ便箋を かさかさ畳む時、
びわの実の 甘い懐かしい香りがしたような 気がした。
●《自己批評》
『えー、相変わらず猫の出てくる青臭い話。
おまけに長いです・・。
「あたし」を「ボク」にして書き直したりもしたんですが
今回は「友情」でいってみました。』
> > > > > > > > > > > > > > >
☆人間って、たった一匹だけにしちゃうと死んじゃうんだって。
『口喧嘩?』
著者:一茶
短ver
――――――――――――――――――――――――――
『人間って、たった一匹だけにしちゃうと死んじゃうんだって!』
「でもな、それを分かっていろうが、いなかろうが
最後は誰よりも自分が生き延びることを選ぶのさ。」
●《自己批評》
『どうも一行で、ぴったりはめるのは難しいものです。』
『無倫理』
長ver
――――――――――――――――――――――――――
―人間って、たった一匹だけにしちゃうと死んじゃうんだって。
時折、頭の中に響いてくる彼女の言葉。
『呪縛』とも、言えるのだろうか。
五月蠅いほどの雨音の中、叫び声がこだまする。
それは苦痛か、死を見てか。
気付けば声は消えうせる。
荒廃した街中を、一人の男が歩いていた。
一つの"仕事"をやり終えた彼は、今日もねぐらへと足が向かう。
人間性のほとんどを不要と切り捨てた彼に残っているのは本能といくらかの惰性。
彼は仕事屋である。
どんな奇麗な"仕事"であろうとも、どんな汚濁された"仕事"であろうとも全てを忠実に引き受ける。
尤も、こんなご時世の中では全てが汚濁された"仕事"なのだが…。
「……ふぅ」
今日も、いくつかの"仕事"をこなしてきた。
『ご苦労さん』
と、内なる俺が俺を迎える。
『今日は、散々だったな』
「あぁ」
『これで、あれだけじゃ割に合わないぞ』
「分かってる」
『たぶん、そろそろ今の雇い主は潮時だな』
「……」
『まぁ、お前の腕ならばどこだって雇ってくれるだろう』
「なら、いいがな」
『まぁいい、まずは飯だ』
「分かってる」
端から見れば、ただの独り言。
だが、端から見るような輩はいない。
裏から回ってくる期限切れの宇宙食を食べる。
それがこの時代において最善の食事だった。
食事を終え、ぼろぼろのベッドで横になっていた。
いつもの習性でそのまま眠りにつく。
そんな時だった。
人の気配がした。
正しく言えば、空気が動く気配がした。
俺は真っ先にベッドから飛び降りた。
と、同時に"仕事"道具の一つをその気配の方向へと向けた。
薄暗い中で動くモノがあった。
「怨みか……」
いつもと同じ火の粉。
「俺はどれだけ背負うんだろうな」
目の前には肉の塊。
『じゃぁ、やめるか?』
「うんや、それはない。これしかないんだからな」
獣では……ない。
『これ、どうする?』
「ああ、いつもどおりにだ」
― 人間って、たった一匹だけにしちゃうと死んじゃうんだって。
「またか……」
これの度に響く言葉。
「仕方ないだろ?
最後は誰よりも自分が生き延びることを選ぶのさ」
●《自己批評》
『こういった世界を書くのは難しかったです。
宇宙食に期限があるかは知りません。(汗
まぁ、最後のはどうとでもとってください。』
> > > > > > > > > > > > > > >
☆最後は誰よりも自分が生き延びることを選ぶのさ。
『今日の皆さん』
著者:七夜実
最後は誰よりも自分が生き延びることを選ぶのさ。
私の右手の肉を、骨を外さないよう、丁寧にそぎ落としつつ、
アイツは怯えた様子で、そう呟いていた。
部屋に飛び込んできたとき、悲鳴を上げなかったのが不思議だ。
最後は誰よリも自分が生キ延びるコとを選ブのさ。
その言葉が頭の中をぐるぐるとまぜこぜになって、
ぱっくりと十時に開いた私のお腹から少しずつ腸が切り取られた。
パパとママは寝てしまったのだろうか、ちょっと期待している。
最後ハ誰ヨリモ自分ガ生キ延ビルコトヲ選ブノサ。
意識が裏返りそうになるのを食いしばって我慢していた頭を、
眉間に突き刺さった細長いナイフが粉々にした。
よくよく見ると、すでにアイツは血まみれだった。
サイゴハダレヨリモジブンガイキノビルコトヲエラブノサ。
それが私に言う台詞か、馬鹿野郎。
でもきっと、それはアイツの独り言。
だって、聞いた奴は、みんな死んでしまったんだから。
そんな、懐かしい夢を見た。
何度目かに死んでしまった時の話である。
* * * * *
そのニュースがテレビに流れたのは、完全に恒例となったロッカーの上での食事タイムbyMorning。
いつもの如く、トースト二枚を居候と分け合って、お新香をオカズに食べ進んで、もとい水と一緒に胃へ押し込んでいた。
ロッカーが部屋の真ん中を占拠して、ついに九ヶ月。
液体物しか飲まなかったのに、固形飯をたかるようになった居候、もといロッカー。
成長したのか、回復したのか、助長したのか、其処までは判らない。
が、面倒くさくなったのは事実だ。
最近知ったのだが、トイレとかどうしているのだろう?という、どこかギャグ設定じみた疑問は、外から帰ってくるたびに異常なほどの丁寧さで磨き上げ抜かれた風呂場と洗面所に気づいたことで、非常に納得するしかない答を提示された。
なんてことはない。中から出られるのだ、このロッカー。
初めて部屋の真ん中で遭遇したときや、ロッカーの貸し主の死体がロッカー内に出現したときなど、あんなにも「出れない、出れない、ブリッジ封鎖デキマシェン!」とパニクってたのに、それがなんだか馬鹿馬鹿しく思えてくる。
そもそも、いつから出られると判っていたのか。
最初から判っていたんなら、あの馬鹿騒ぎに掛けた時間を返してほしい。
その分だけ、失った点数や単位に還元したい。
話が逸れた。
ともかく、人前でロッカーから出てくることは、今もない。
それ故に、飯を食べるときには、ドアに開いている隙間から物を落とす。
受け取りを失敗したときには、断末魔の悲鳴だ。これには、近所も慣れてしまったっぽい。というか、慣れてしまった自分がヤバイ。絶対にヤバイって思われてる。そのはず。
最近は、学校の友人の間でも、「アイツは家で人間をロッカーに閉じこめて飼っている、危険だ、ヤバイ」なんて噂が流れ始めた。
その尽くをもみ消しているが、火元が普通に健常である限り、いつかは事実として知れ渡るだろう。
クリスマスに友人達を呼んだのは、やはり失敗だったのか。
気付かれはしまい、と、思っていたのだが・・・・・・うぅ・・・。
再び逸れた。
いずれにせよ、今更出てきてもらっても、なんだか嫌だ。
九ヶ月も同居しているわけだが、その相手が意思疎通こそしているが、完全に生活空間を私から断絶していたからこそ、成り立っていたとも言える。
いきなり人間だけが私の部屋にいたのなら、とっとと警察に連絡していただろう。
もっとも、ロッカーがあった時点で、すぐさま警察に電話しようとした私がいたりするのだが、それは捨て置く。
そういう訳で、ロッカーはロッカーのまま、同居人兼机兼ちゃぶ台兼調度品兼粗大ゴミ候補として未だに部屋に居座り続けている。つまり、ぶっちゃけゴミ。
もう、逸れて仕方がないのだが、ともかく、
そして、再び言うのだが、そのニュースが飛び込んできたのは、そんな1人と1箱が貧相な朝食を摂っていた時のことだったのだ。
「・・・ねぇ」
トーストをかじり終えたロッカーが呼びかけてくる。
「何」
「学校は「自主休講」・・・・・・五月病「先生が、ね、ちょっと」・・・・・・・・・典型的症例」
そろって溜息ホロリ。
今更、なんだけど、ねぇ?
じゃあ、なんでこんな朝っぱらから飯を食べているのかと言えば、単に昨日、夕食を抜いたからだ。お腹が減ったのです。仕方ない仕方ない。
「バイトしよっかな」
「そうすべしそうすべし」
「でも、人と会うのも、なんだか」
「・・・・・・・・・・モノ扱いヨクナ「黙れ直方体」ハイ」
よし静かになった。
正直、話すことすら億劫なのだ。
ここしばらくは頭痛が全然離れてくれないし、髪の毛もまとまらず、見た目ベートーヴェン、よし、今笑った奴、ブッコロス。
目の下に熊が住んでいないことだけが唯一の救いだけれど、これも後数日の話。
そして音楽家は壮絶なる死を迎える晩年に至るのだ、きっと。
ならよく喰えばいいじゃん、という巫山戯た声が聞こえてきたので、箱の上部を横から蹴り飛ばす。
耳が耳が〜、と、どっかのラピュタみたいな悲鳴が聞こえてくるが今度は無視。
アレは、ワザとだ、絶対そうだ、確実決定。
ところで最近、ロッカー宛の電話が、よく掛かってくる。
名前はその時その時で違うのだが、ロッカーに相手のことを聞いてみると、「アァソレオレオレ」と、未だ水面下で蔓延る小市民的悪党行為を連想させる返答をする。
その後、会話を聞いていても、やはり内容がまちまちで、何を縁に知り合ったのか、全く判らない。
というか、勝手に人の携帯電話の番号を連絡に使わないでほしい。
電話代はアッチ持ちだけど、電気代はコッチ持ちなのだ。
そもそも、どうやって番号を知った、何時相手に教えた、どうやって相手に会ったんだゴラァ!
その他諸々の文句と疑問は、ロッカーの隙間に携帯を押し当てる私の左手の慢性疲労によって蓄積されていく・・・・・・・・・・・・そうか、これが私の疲れの原因か、やっぱりロッカーはコロしてしまうべきか、ひいては今度、隙間にホースを突っ込んで水を
そこで、ロッカーが名前を連呼していることに気がついた。
ちなみに今、風呂場の蛇口にホースを取り付けているところだった、無意識って恐ろしい、ユングさんも凄いです。
で、部屋に戻るのだが、ロッカーが連呼しているのは名前ではなく愛称の方で、しかも前に突き合っていた恋人が使っていた奴だったので、食後に飲むコーヒーを作るのに使うつもりだった熱湯を下の隙間から注ぎ込んで、そのネタの出所ごと隠蔽してあげた。
何も聞こえない、何も知らない、ロッカーはロッカー、自同率、熱い、不快、嘲笑い、ハニヤニヤニヤニヤニヤ・・・
「で、何「ひどいな君は時々ここに輸送されてきたことを激しく後悔してしまうほどの仕打ちだよ親の顔どころか遺伝子配列まで確認したくなってきたじゃないかホラ隙間じゃわかんないだろうけど臑から太腿にかけて赤く赤い跡がくっきりと「ダマレ」ハイゴメンナサイマセ」
「で、何「な〜んでしょう?」
(少々お待ちください。本日の夢は、富士の樹海です。ふかいです)
「で、何」
「いや、今、ニュースで、凄いのが流れてたんだけど」
「他人のことですかぃ・・・」
「いやさ、確かにそうなんだけどね」
「?、何か気になることが」
「あるんだよ、これが」
そして、そのニュースの詳細を、ロッカーが把握した限りで語り出した。
* * * * *
新聞を大量に持ち歩く癖は、未だに取れていないらしい。
そのためだけに、あんなにも大きなショルダーバックを買ったのだがら、普段は交通費すらケチるアイツが判らない。
勝手に部屋に入り、勝手に部屋の隅を占拠して新聞をゆっくりと読み始めたソイツは、もちろん新聞を読むためだけに来たのではない。
沢山の新聞と一緒に突っ込まれたために所々黒くインキで染まってしまった紙包み、その中身が私に用があるモノ達だ。
ちなみに、勝手に上がったと書いたが、、これから学校をサボっていると聞いた友達の家へと行こうとした私との間で、玄関先での激しい遣り取りがあったことは、とりあえず示しておこう。
いきないだから飯をおごってね、とかわいく恐喝、
今日の昼食でどうか、と素早く交渉開始、
それならファミレスドリバー込みで、と優しく切り返す、
そんな、今週ヤバイのに、と静かに頽れる依頼者1人。
あぁ、依頼料は別払いで宜しくね、と致命傷を与えるのを忘れぬ私。
それでも勝手に、と言ってしまうのは食事で釣られたことを私のプライドから、賢明にひた隠すためでもある。不毛だ、そう思う。
そんな、命の次に重要なやりとりをした後ですが、新聞読んでいる当人、もう忘れてません?そんな気がしてやまない読み姿、不吉だ。
朝食の直後を狙ってきたのはソイツの好判断、中々醒めない脳細胞は既にクリアランスセール・・・これってどういう意味だっけ?
・・・ともかく、髪を縛り上げ、眼鏡を外し、ガラステーブルの上に並べてみた品々を見渡してみる。
第一印象を一通り感じ取った後は、仕事の効率とモノ相互の相性を踏まえつつ、取り組む順番を決める。
それでは、始めますか。
新聞の開き、舞い上がり、引きずられるように落ち、重なっていく音。
先程までの不機嫌さや気疲れ、徒労感は意志から切り離される。
これから必要となるのは、己の身を無限に開き、尚かつ厳密に維持する精神力。
その単調すぎるメロディをバックサウンドにモノへと意識を集中する。
音と同調するかのように、目の前のモノが次第に生々しくなっていく。
モノとそれを掴む手が次第に同化していく錯覚、それに飲まれてはいけない。
両手で挟み込み、捧げるように目の位置まで持ち上げたソレの奥へ、
直視せよ、それが私にとって最高級の行動原理であり、
忘れるな、ソレがみせるはずのないモノが、見る者を喜ぶはずはないのだと。
ソレが仕舞い込んで、仕舞い込まれた創造主達の記録、
その、人とは違う目方で保存された世界に飛び込んでいく。
私の持つ『鑑定眼』は、超能力ではない。
よくサイコメトリーと勘違いされるが、これは歴とした技能の類だ。
鑑定家、学芸員、芸術評論を目指す人間ならば、誰もが身につけなくてはならない技能、
即ち、目の前の芸術作品そのものから年代、保存場所及び状態、所有者の遍歴、使われた技法、材料、制作動機、制作過程、その果てには制作者そのものへと至る全歴史の鑑定技能、それがこの『鑑定眼』の基礎であり、全てでもある。
私は対象となる芸術作品を自身の感覚を限界まで総動員した状態で鑑賞し、そこから得られるすべてを足がかりに、己をソレに同化させるのだ。そして、ソレとなった己をさらに感じ続けることで、それ自体から得られる全情報のほとんどすべてを得ることが出来る。
つまり、私は作品の持つ記録の世界を覗き込んでいるのではなく、作品の情報の悉くを独自の世界像へと再構成して必要な知識を得ているのだ。
今見ている世界の中から、私が、ひいては依頼者が必要としている情報が整理されているはずの場所を覗き込む。
・・・駄目だ、かすれてしまっている。
どうやら、依頼者が真に目的としている人間は、このモノには、ほとんど思い入れがなかったらしい。
今、私がやっていることは、本来私が意図している使い方ではない。
それ故、必要としている情報が手に入らないことは、いつものこと。
本当に、なんでこんなことしてるのか、貧乏な自分が恨めしい・・・。
一つめ終わり。二つめに取りかかる。
と、そこで素っ頓狂な声が上がった。
もちろん、新聞を読んでいる奴のことだ。
普段から感情表現が激しいのだが、正直オーバーだと思う。
今度のもソレか、と思ったが、どうも様子が変だ。
あれは、そう、巫山戯半分で平将門の墓石を私に見させて、2人そろって酷い目に遭ったときと同じ顔だ。
どうも、本当に驚くべきことに出会ったらしい。
さて、動かないソイツに変わって、慈悲深い私が声を掛けることにしよう。
「どうした?」
「う、おう?は、はれ?」
「今日は曇りだ」
「いやそうじゃなくてコレコレ!」
俺の担当箇所だったのに、とかなんとか良いながら私の目の前に突き出される新聞記事。
眼鏡を外すと小さい文字は見えないのだが、とりあえず、その中心に大きく写った一つの写真に、
私は、激しく戦慄した。
* * * * *
目が覚めたとき、私はバンソーコーまみれだった。
非常にむずがゆかったので、思わずはがそうとした手を誰かに掴まれた。
なんとか開いた右目で、掴んだ相手を確認する。
執事だった。
主の命令で、私の看病をしてくれていた、ということだろう。
とりあえず手の力を抜くと、執事も何事も無かったかのように離してくれた。
さて、状態を確認する。
現在の私の思考形態はTYPE-L3。通常生活の中でも、休息時に使われる形態で思索が営まれている。
緊急時には動くことが許可されているが、TYPE-L系統以外の思考形態、及びソレに適した能力変動は禁じられている。
先程手を動かしたときに違和感はなかったし、触覚もすべてバンソーコーで覆われている以外の外傷を感じ取れない以上、治療中に設定されてしまったのであろう諸命令に従うべきか否か。
身体、及び精神面全域に対し、上記命題の判定開始。
・・・・・・・・・・・・・・・終了。
身体修復は体表の数カ所における欠損を除き、完全終了。この無駄に多いバンソーコーは本当に無駄らしい。ただし、修復ではなく交換・改善された箇所との連携が最適化されていない。関連する複数の再設定が未処理。現段階での諸動作の実行は、致命的な破損を引き起こす可能性アリ。許容範囲外確認、これより未処理の条項を含めた身体全箇所の同一性再構築処理(リハビリ)を開始。予定終了は四時間後。いくらかの思索を、この処理の統括、及び思考停止時に他者により行われた各種処理過程のチェックに充てる。
ここで同時進行していた精神面、特に思考の連続性復元・修正処理に意識を移す。強制終了した際における破損は、回路面で無し、記録面で終了直前に未処理だった疑問系命題数個が修復不可と判定、各命題の発生タイムカード発見、確認、記録可能、この一連の処理記録と合わせて記録し、バグは全除去とする。未破損の記録との同一性確認・・・・・・・・・終了。誤差許容範囲内、全意識再統合を、活動中の思索を一時停止した上で作業承認、開始。
「・・・・・・・・・ん」
「確認は終わりましたか?」
「・・・おはよ、世話馬鹿」
「・・・それは、どのような比喩表現を用いた返答なのでしょうか?」
「単なる挨拶。質問の答は、大丈夫、ってところ」
「それでは、おはようございます、元気そうで何よりです」
「敬語は使わないで、朝からキツイ」
「判りました。それでは、おっは「繰り返さない、シツコイ」わかりました」
それきり黙り込む。
この執事、普段は必要最低限かつ必要最善手的な発言しか行わない。
しかも主の、疑問系命題に対する返答のみ。
よくそんなんで依頼を受けたり、調べ物が出来るモノだと考えることもあるが、依頼主が執事に話なんかさせる訳もないし、調べ物で対話なんて時間が掛かりすぎる。在る意味、最も執事の仕事に適した会話方式なのかもしれない。
それがこんなにも話を仕掛けてくるのは、主が与えた数少ない命令形命題の一つに「彼女と話すときは、出来る限り貴方から話しかけるようにしなさい」とあるからで、それを馬鹿正直に守っているからなのだ。
最も、最初の頃は「話とは、いかなる定義を持つ行為を指しているのか」とか「話の内容とは、どんなものが適しているのか」「話をすることに必要なスキルには、どのようなものがあるのか」といった風に、会話について会話するメタ会話と化していた。そんな時と比べれば、今日のような会話も、非常に進歩した、そう言えるだろう。
私の受け答えを、それに再び私が返答できるような形・内容を持たせて返答するという、「話題を引き出す」というスキルの第一歩に基づいた会話を行おうとしたようだが、今日は相手が悪かった。
TYPE-W、TYPE-Rの時には、もっと会話がやりやすいのだが、今の私、TYPE-L準拠の思考形態では、会話を続けることに思索を上手く割くことが出来ない。出力よりも入力に重点があり、現状維持を目標とする以上、変化を追うことに強い障害を感じるのだ。
断じて、不機嫌な訳じゃない。
とにかく、私たちは黙っている。
私は早々と目をそらしたのだが、執事の方はまだ私を見つめている。
それが私との会話の糸口を待っているのか、私の状態を逐一確認・判断しているのかまでは判らない。
わからない、が、これから眠りにつこうとする私には、あまりにも、邪魔だ。
という訳で、会話することにした。
「ねぇ」
「何でしょうか?」
「私がアレをやってから、どのくらい経ったの?」
「現時点で九時間と十四分です。貴方が主に抱えられた状態で此処に戻ってきたときから計算すると八時間と四十二分です」
実を言うと、身体をチェックしたときに、諸細胞のタイムコードを確認して、ほぼ同じ正確さの時間は把握していた。
それでも、執事のように、常に頭の中で時を刻むような芸当は、私には出来ない。寝ているときも意識しているなんて、理解できない。
「じゃあ、アレはもう、かなり知れ渡ったことになるのかな」
「かなり、では不適当です」
「え?」
思わず仰ぎ見た執事の顔には、珍しく悪戯をとがめようとする大人みたいな表情が張り付いていた。
どうやら、やっかいごとが大量に出てしまったらしい。
命令したのは主だが、やったのは私なので、今の執事と対峙するのは、ちょっと怖い・・・?
「各種報道機関、及び情報媒体の殆どが、つい一時間と三十三分前のラジオ速報を皮切りにアレを扱っています」
驚いた。情報の周りが早すぎる。普段は、もう少しオブラートな扱いのはずなのだが。
「情報操作は、アレが行われたことを私が把握した時点で、既に実行不可能な段階にまで進んでいました」
・・・?この論考に、記録の何かが反応しているような気がする。
気がする、ということは、間違いなく考えたことがある、はず、なのだ、が。
再び思索が働きだした私を置いて、執事は論を進めた。
「これは私見なのですが」
「主のことを、タレ込んだ者がいたようです」
その言葉に、同一化した意識がやっと過去から現在へと追いついた。
* * * * *
パクリ、と、そんな音がした、ようなきがした。
そんな裂け目が、そこにあった。
市の中心部に存在する公園。
噴水が時間と共に吹き出す広場に、
真っ黒な裂け目があった。
とりあえず言っておくが、地面に、ではない。
宙に、だ。
空中に、夜が割れたかのような、そんな裂け目があるのだ。
少し時間が経つ。
再び同じ場所に、
今度は1人の青年が立ちすくんでいた。
割れ目は、消えている。
青年は、まず身体を見下ろした。
そして、夜空の星を観た。
それから、何かを見透した。
それだけで何かが判ったのか、
青年は立ちすくんだ状態から、
ちゃんと二本足で立った。
そのまま歩いていく、
と、途中で止まり、
公園を取り囲むビル街の、頂上の一角を見据えた。
そこに、
月が、
あった。
「キエロ」
初めて聞く青年の声は、
しかし、夜にも似合わぬ冷たさで、
月を皆殺しにした。
星の瞬く夜空。
星しかない夜空。
彼の目はそのすべてを一周し、再び前を向く。
そして、両手へと落ちた。
そこにあるのは、どこか使い込まれた小さめの、
それでもどこか力強い手のひらで、
彼には血まみれに見えた。
そして、実際に血まみれでなくてはならなかった。
そうでなくては、
血まみれの両手を握り返してくれるような、幸せが、わからないじゃないか。
さらに時間が経って、
公園には誰もいなくなる。
* * * * *
何故、と、言っているのだろうか?
入り込んだ家。
そこにいるはずの家族は何処にもいない。
ただ、リビングに佇むのが1人だけ。
目は見開き、口は半開き、足は今にも折れてしまいそう。
その様子にいぶかしみつつも、
普段のように飛びかかり、
始める前に終わりが始まった。
意識は、あるはずだ。感覚も、もちろんそうだ。
きっと、何をされたのかも判らなかったに違いない。
だって、ソレを行った当人にも判らないのだから。
そして、驚く暇も、与えられない。
そうじゃなきゃ、やられたことを、やってあげられないし。
手始めに右手が消えた。
いや、右手は在る。
でも、間違いなく、右手が消えているのだ。
アイツの目が私を見る。タスケテ、と泣き叫ぶ。
次に消えたのは左手。
もちろん、在るのだ。
じゃぁ、何が消えたというのか。
タスケテ、タスケテ、タスケテ、タスケテ、タスケテ、タスケ 其処で止まる。
両足も消えて、腰も、腹も、胸も消えた。
まだ在るのに、何もされていないのに、消えてしまった。
もう、何が何なのか判らない。
そこにあるのは、再び、何故、だった。やっと、気付いてくれた。
鼻が消えた、耳が消えた、唇が、瞼が、舌が、歯が、顎が、喉が、消えた。
そして目が残る。
目だけに、なって、
何故「お前がそこにいる?」口がないので代弁してあげた。
目の前の誰か、知っているけど名前は知らない誰かが、何かを呟いて。
悲鳴を押しつぶした疑問は、
目と共に消えて、私だけになった。
目の前には変わらずアイツがいて、アイツはなくなってしまった。
笑おうと思って、何故か笑えなかった。
そんな私を、後ろから誰かが抱きしめる。
「復讐、おめでとう。これでアイツは誰にも赦されないわ」
「そう。でも、よくわからないんだけど、これでいいの?」
「えぇ、大丈夫。私がよく分かってるわ」
あなたのことも、あなたの力のことも、ね。
「でも、やっぱりわからない」
「言ってみて?」
「どうして、アイツは私を解体したかったの」
それはね、と、その人は私の耳を唇に寄せて、そっと囁いた。
「私たちのような人間はね、みなフェチなの」
●《自己批評》
『非常に遅れました。
なんでも、ギリギリまで、ノリにのっていたそうで。
なんだか、とても楽しそうでした。
一見ゴチャゴチャしていますが、
ノリだけなら、最も強い作品と言えそうです。
何人か、此処では初登場の方もいますが、
主役のいない世界ですので、これからを期待してください。』(by Router)
> > > > > > > > > > > > > > >
☆人間はね、みなフェチなの。
著者:ヤグタケ
> > > > > > > > > > > > > > >
☆世の中の天才を見ろ。わがままばかりじゃないか。
『六天満博士の愛した数式』
著者:松永夏馬
「世の中の天才を見ろ。わがままばかりじゃないか」
「天才イコールわがままと仮定しても、わがままイコール天才ではありません博士」
六天満博士は嬉々とした表情で振り向きながら言った言葉を受けて、返事をした秘書の蓮見ネムの声は相変わらず冷淡で抑揚がなかった。
「天才という人種が全てわがままな性格だからといって、わがままな人種がすべて天才とはかぎりませんし、むしろ極わずかであると思われます。というか博士は単なるわがままなだけです」
刃こぼれ一つない日本刀で一刀両断にされたかに思われたが、六天満博士は飄々とした態度をそのままに軽く眉をひそめて子供のように口を尖らせた。
「おいおいネム君、相変わらず君は容赦ないね。いじけちゃうよ」
「ちゃんとお給料さえ頂ければ博士がいじけようが発狂しようが別に構いませんし、今とさほど変わりません、結局は変人です」
すごい秘書だ。隣でこの会話を聞いている僕の心臓のほうが心配だ。
「あ……あの……」
「変人! いいじゃない! 過去偉大なる天才たちは周囲の人たちを寄せ付けぬ奇人変人ぶりだったそうだ」
「そうですね、アインシュタインやガリレオも周囲から浮いた存在だったと」
「天才イコール奇人……」
「博士はただの奇人変人です」
「ネムくーん」
「わがままな、奇人変人です」
「そんなぁ」
「そんな博士でも大丈夫ですよ、いつか世界に認められることもありますよ」
「そう? そうだよねッ」
「ええ、死後に名を残すタイプだと思います」
「ええー」
「あの……僕は……」
いいかげんに僕の存在を知らせなければ延々とこのドツキ漫才(それも秘書の言葉による一方的な)を聞かされて一日が終わってしまいそうだ。なんとか体を割り込むようにして六天満博士の視界へと映ることに成功した。
「誰?」
「バイトの募集に応募されてきた矢口武実さんです」
秘書が相変わらず淡々と答える。この部屋まで通したのをすっかり忘れていたんじゃないかと思うくらいの無視っぷりだったが、そういった狼狽を微塵に見せず事務的に僕を紹介してくれた。が。
「バイト? 募集したっけ?」
目をしばたかせる中年博士の耳元で秘書は素早く囁いた。
「実験台です」
「ああ、アレ」
うん、はっきりと聞こえた。
「いや、あの、書類整理と雑用、と聞いて来たんですけど」
「ええ、書類整理が主な仕事ですが何か?」
メガネを直しつつ秘書はサラリとそう言った。
「え、でも、今実験台って」
「書類整理と雑用です」
きっぱり。まるで自分が聞き間違えただけのような錯覚に陥る……ってそんなわけねぇよ。
「やっぱ……帰……」
「時給2000円」
「やらせていただきます」
ああ、お金が欲しい。時間も欲しけりゃお金も欲しい、行動力と若さがウリの大学生は多少胡散臭くとも払いの良いバイトに惹かれるのである。まるで街灯に集う虫のように。……殺菌灯でないことを祈ろう。
「……ほ、本当に書類整理と雑用なんですよね?」
「ええ、簡単な書類整理と雑用が主な仕事です」
そう繰り返す秘書の後ろで博士が思い切り顔を背けとりますが。
顔の筋肉が痙攣を起こしかけたような僕を見て、小さくため息をついた秘書はその冷たくも綺麗な顔を柔らかく優しく微笑んで僕に笑いかけた。
「大丈夫ですよ、本当に仕事の内容は書類整理と雑用」
聖母マリアのような微笑に宛てられて僕は一瞬ポーッとなった。
「…………と実験台」
「やっぱ帰るッ!!」
って何最後に呟いてんだこの秘書。
「時給2500円」
「ぐ……」
お金の為に体を張るのは大学生にとっちゃ般教の単位と同じようなもんだよね、普通だよね、みんなやってるよね。泣きながら。
「まぁまぁ、ボクはこれでも天才と言われるこの分野での世界的権威だ、心配はいらないよ」
ききき、と笑いながら六天満博士。自分が苛められていないと嬉しそうだ。
********************
今から即バイトということで僕はタイムカードをガシャコンと鳴らした。時給2500円時給2500円と頭の中で繰り返しながら、制服だと言って秘書が用意した箱の中の服に着替える。
「……制服……なんですよね?」
白衣姿の博士と秘書が揃って頷き、僕は纏った服をまじまじと眺めた。病院の人間ドックで見られるような淡いブルーの長い薄手のガウン1枚、パンツすら履いてない。ああ、もうアレだ。実験台だ。100パーセント実験台仕様だ。この格好で書類整理なんぞしてたまるか。
「腕時計も外してね。携帯電話は電源切ってそっち置いておいて」
にっこりと笑顔で博士が言う。
「計器に乱れが出たら何が起こるかわかりませんから」
秘書はさっきの天使の微笑みはどこへやら。すっかり仮面の女に戻って淡々と僕の服をチェックして箱に片付けた。そしてその箱ごと金庫のようなスチール戸棚へと押し込んだ。扉を閉めると妙な電子音が鳴ったりする。怖ぇよこの研究所。
「とりあえずこちらへどうぞ」
秘書が次の部屋へと誘導してくれる。相変わらず僕は時給を頭の中で延々と繰り返していた。それだけが救いなのだ。
言われるがままに広めの手術室のような部屋へと進まされ、中央のベッドに横になる。
「……えーと……訊くの忘れたんスけど、博士の専攻って……」
「言ってなかったっけか? あはは」
「生体分化学です」
何それ。こちとら文系一筋だ。
「今は人工的に作られた臓器類の移植に関する拒絶反応について研究しています」
メガネを直して秘書は言う。テキパキと僕の手足をベッドに拘束しながら。臓器移植か、それにしてもうーん、手際がいい……って!
「ちょ……やっぱ無理!」
「時給2800円」
痛いところを突いてくる。ていうか勝手に時給上げていいのだろうか。博士がどうしたらいいかわからない顔してるぞ。それでもさすがに怯える僕をかわいそうに思ったのか、秘書は優しく微笑んだ。ああ、天使の微笑み。
「パッチテストを知っていますか? アレルギーの有無を調べるテストです」
「あ……ああ、確か食物アレルギーで弟が幼い頃にやった記憶が」
「それと同様の検査をするだけです。何も心配はありません」
そうしてやさしく頷くと秘書は博士を振り返った。
「博士、まずは何からやりますか?」
「そうね。じゃぁウシの細胞から」
がびーん。
「ちょっと待て。なんだウシって」
「角が生えててモーモーなく動物」
知らないの? みたいな顔をするなこの中年親父!
「はい、それじゃぁ矢口君、ウシの気持ちになってー」
できるかー。
「無理ですッ! 無理! 何をする気だッ!」
暴れようとも手足を拘束されていて何も出来ない。必死で体をくねらせて首を振る。秘書はやれやれ、と言った表情で首を振り、僕を見下ろして言った。
「いいですか? 臓器移植をする上でもっとも問題なのは臓器の提供者が圧倒的に少ないことです。さらには脳死等で移植に使える臓器があったとしても、患者に拒絶反応があれば使えません」
ムツカシイことを言われてもよくわかりませんが。とりあえず頷く。
「だからと言って人間を大量生産して移植用にストックするわけにもいきません」
「り……倫理的な問題ですよね」
「その通り。だから、家畜化された動物からの移植が可能になれば、提供可能な臓器数は飛躍的に伸びます。それと比例して患者に適応する臓器も増えるわけで、世界中の移植を待つ患者達の光と成りうるのです。その第一歩として、矢口さんの体にウシの遺伝情報を組み込んで拒否反応が出ないことを確かめます」
「ウシの気持ちになったほうが拒絶反応少なそうじゃない?」
「なるほど…………って納得できるか! 無理! 帰る!」
「時給2850円」
時給の上がり方がショボくなったぞ。
「すいません帰らしてくださいー」
さすがに僕だって泣くぞ。泣きながら必死の抵抗を見せる僕を見て、博士と秘書は困ったような顔を見合わせた。そしてさも仕方ないといった表情を一転させ、博士はにんまりと笑った。
「うん。それじゃコレでバイトの契約は終了だ。ネム君」
呼ばれた秘書はタイムカードをガシャコンと鳴らした。
「1時間20分くらいですね」
「うん、じゃぁ時給2800円の、1時間半でオマケしてあげよう」
「では4200円です」
どうやら実験台にされなくてもバイト代はくれるらしい。意外にいい人達なのかもしれない。ホッと胸を撫で下ろした僕だが、拘束が解かれる気配がない。
「あのー。もうそれじゃ自由にしてもらえません?」
「ああ、そうね」
そうして足を止めてある黒い帯に手を伸ばしかけて博士は動きを止めた。
「コレいっこ外すのに400円かかりますけど良い?」
「はい?」
「両手両足で全部で1600円になります」
「金取る気かよ!」
「嫌なら別に。このままこの状態で実験に参加してくれるまで放置するけど」
「わかった、わかりました。払えばいいんでしょ払えば!」
「ちなみにその服のクリーニング代が1200円。アナタの服が入ってる金庫を開けるのに300円かかります」
秘書が淡々と言う。
「それから、そこのドアを開ける暗証番号4ケタは特別セール中で2000円」
「な、なんでそんな金を取るんですか!」
「この研究所はかなり極秘な研究を行なう施設ですからね。部外者には入られては困るんですよ」
なんでもない、といった顔で説明する秘書。嬉々とした表情で博士が続ける。
「手を触れた場所は殺菌しないといけないのでその処置代もかかるからね」
「無菌状態でなければこういった研究はできませんので」
二人して笑う博士と秘書。その目は施設内のいろんなところを探すように見ていた。ふと僕の視界に天井に設置された空気清浄機のダクトが映った。頬がヒクつく。
おいおいちょっとマテ。ヘタすりゃ空気もそのうち、有料になるぞ。
●《自己批評》
『医学的ななんちゃらかんちゃらはツッコまないでください。無知です。テキトーです。
ちなみに「博士の愛した数式」は読んでません。』
∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞
☆空気もそのうち、有料になるぞ。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
出題者:真紅さん(◎マーク)
作品名:『ダ・ヴインチ コード 上巻』 著:ダン・ブラウン
正解者:知さん 晴さん
出題者:一茶さん(☆マーク)
作品名:『シーマン語録』 編:斉藤由多加
正解者:知さん 晴さん
MCメンバーの個人情報を漏らしました・・・。(泣)
きっと、MCメンバーさん全員に届いている筈です。(汗)
失礼しました。
反省します。
二回目・・・。
ゴメンなさい。(泣)
2006.06.24 21:57 URL | night_stalker(初) #NN0jmGmk [ 編集 ]
発砲麦茶を片手に、チャングムが始まるまでには、完成させる予定です^^
でも、テレビが・・・フトンを誘うのでスw
「ロードオブザリング」・・・
見たいよw
はw^^;
個人情報は・・・ビックリしました!!
消しときますねw
2006.06.24 22:12 URL | フトン #- [ 編集 ]
編集お疲れさまでした。
またやっちったよ・・ってことで
冒頭の「手紙」の部分 頭が数箇所
1字分飛び出していて、でこぼこしています。
意図したものではないので・・すみませんが
お暇なときに そろえてやってください。
しょーもないミスですみません(泣)
個人情報の件、了解しました^m^
2006.06.25 04:48 URL | なずな #- [ 編集 ]
×灯りは何とかなった。そんじょおかげで地図も見つかった。
○灯りは何とかなった。そのおかげで地図も見つかった。
に修正をお願いします。
(自戒の為に)失敗した過去は残す主義ですが、
修正はして欲しいのでお願いします。
2006.06.25 07:42 URL | 高木京理 #TXsCAm0Q [ 編集 ]
とりあえず御題がややこしかった事をお詫びします;;
難しいのを色々選んで出したのはいいけど自分にもそうなるとは・・・。
2006.06.25 07:47 URL | 真紅 #ctdA4ung [ 編集 ]
七夜実さんへ>
アップしました。
新居(AR1)さんへ>
タイトル入れました。
なずなさんへ>
修正しました。
高木さんへ>
修正しました。
次の指名者、もう少々お待ち下さいね♪(汗)
2006.06.25 09:57 URL | night_stalker(初) #NN0jmGmk [ 編集 ]
来ましたっ!
真紅さん → フトンさん
一茶さん → フトンさん
・・・うくくくくくくく。(23pss)
バっトっルっロっイっヤっル〜〜〜っ!!!!!
来月の10日をお楽しみにねっ♪
フトンさん。
お題を、7〜8本ぐらいでお願いね♪
2006.06.25 10:23 URL | night_stalker(初) #NN0jmGmk [ 編集 ]
私ですか???
しかも・・・ねえ?
とにかく皆様が喜んで(苦しんで)もらえるものを、探しますねw
なんにしよううかなw
と、その前に、原稿の送信もしないと・・・
今夜送ります・・・
^^;;
2006.06.25 10:46 URL | みそブトン #- [ 編集 ]
またまたコピー用紙買ってきた♪
インクも買ってきた♪
うちのプリンターA4紙70枚でインク一本終わるんだよねぇ;。
さて準備万端、いざ、印刷ぅ〜♪
今回は48枚。セーフ♪ るん♪
読ませていただきまーす(^0^)
2006.06.25 10:47 URL | kazumi #G/R0oQrY [ 編集 ]
色々ごたごたしまくりで整理ついて無いですが次回出ますー
2006.06.26 10:38 URL | 時雨 #- [ 編集 ]
内藤さん>
修正ありっす。そしてお疲れ様です。
2006.06.27 00:29 URL | 高木 #TXsCAm0Q [ 編集 ]
皆様、おつかれさまです。
これからがっつり読ませていただきますヽ( ´¬`)ノ
読むだけっていいなあ。
これに味を占めたわけではないですが、来月締め切りの次回もちょっと身辺に余裕がないので、お休みさせてください。
八月だったら参加できたので、残念です(-ω-;)
夏馬さんのお話に出てくる蓮見ネムさんって、もしかして私の名前を使っていただいたのでしょうか。
うおお…何だか可愛い名前だ!とドキドキしてしまいました☆
2006.06.27 01:08 URL | nymphaea #KxWOa.vM [ 編集 ]
睡蓮から取った名前です。ニムさん(略すぎ)
こうやって次々に名前を使っていくのですよ勝手に。
ちなみに私の名前は松永夏馬(マツナガ・ナツマ)です。地味にわかりにくくてスンマセン(笑)
2006.06.27 22:28 URL | 松永 夏馬 #- [ 編集 ]
今回のは、前回以上に縛りのある遊び方をしたため、なんかいまいちしっくり来ないかもしれません。
松永夏馬さん>
あ、はい。知っています。夏馬さんのブログを訪問した際に(というか、本当に読み方が分からなくて、調べに行ったという真相)拝見しました。
今思えば、名前の読み方を知ってしまったがために、自己の思考を抑制してしまったような気がしないでもありません(って、完全に自己怠慢ですが)。
2006.06.27 23:53 URL | AR1 #- [ 編集 ]
MCアップの翌日、クレーム処理でほぼ徹夜状態・・・。
その翌日、朝の3時出発で、約20時間連続の過酷な運転・・・。
そんな仕事してます。
今夜から原稿読ませてもらうから、寸評待っててね。(睡死)
2006.06.28 06:04 URL | night_stalker(初) #NN0jmGmk [ 編集 ]
・・・まとまらんかった○∠\_
ちょっと例の編纂とかもあるんで、次回参加も微妙かも知れん・・・。
丁度バトルロワイアルになるみたいだし、一応名前だけ入れておいてください・・・。
自分の至らなさが身にしみるわ○∠\_
2006.06.29 00:09 URL | Clown #88EAcY5M [ 編集 ]
物語を作る時に何処を中心にして最初にスタートしますか?
・訴えること(カタルシス効果も含む)
・物語のあらすじ
・人物
・エピソード
・舞台(物語の世界観も含む)
大体、自分の場合は、人物か、あらすじか、訴える内容のどれかから派生して物語の全体を作っていくタイプです。
項目が隣あっている物を考えていく方が、作りやすいと思って上記の項目の中から選んだ項目から派生して作っています。
例えば、人物を最初に決めた時などは、
隣あった項目の
エピソードか、あらすじから決めていく。
僕は、世界観から物語を作るのが苦手な人だったりします。
逆に、僕は訴える内容から物語を作るのが得意だったりもします。
エピソードを作らないと物語の世界観が作れない場合が、僕の場合は多いのですが……
他の人の作り方のデータを、僕が持っていないので、他の人の作り方を聞いてみたいです。
2006.06.30 00:16 URL | 高木 #TXsCAm0Q [ 編集 ]
アップしました。
遅くなって申し訳ありませんだよっ!(-5pss)
2006.07.01 13:08 URL | night_stalker(初) #NN0jmGmk [ 編集 ]
九龍さんの泣いちゃいましたー(;△;)
切ないけどハッピーエンドですね!
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